【シリーズ企画】話題のモバイルPOSシステム、どれが自分のお店に合ってるの!? 第1回:ユビレジ

【ざっくり要約】

  • 制限のある月額無料、いろいろ使える月額5,000円~プラン
  • ユビレジは多店舗管理に強味を発揮、売上向上を意識
  • 今後も拡大する連携サービスにも注目して選びたい

iPadに専用アプリをインストールして使うモバイルPOSレジが、いま飲食店を中心に普及が進んでいます。とはいえ、サービスを提供するメーカーも多く、どこのシステムを導入するべきか悩むオーナーさまも多いようです。
共通しているのは、データはクラウドでバックアップ、リアルタイムで売れ行きや経営判断ができるための機能を備えていること、オーダー用の端末はiPhoneやiPod Touchで、やはりアプリをインストールして使えること。そして、なによりシステムの導入費とランニングコストが旧来のハードPOSレジより圧倒的に安価ということです。
しかし、それ以上のこととなると、サイトを見て悩むこととなります。果たして、自分の店にとってベストなのは、どのiPad POSレジなのか?
そこで、これから5回にわたってサービスを各回ひとつずつ紹介、メーカー担当者に質問をぶつけ、特徴を浮き彫りにしていきます。
初回となる今回は「ユビレジ」です(掲載順は取材順に準じています)。

多店舗の飲食店に強いユビレジ

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▲ユビレジの会計画面。テーブルごとに会計がサッとでき、登録した顧客の過去に頼んだメニューなども参照できます。

ユビレジは株式会社ユビレジが開発・提供している“iPadを活用したSaaS型POSシステム”で、iPadが発売された2010年の8月にいち早く公開されています。
翌2011年には東日本大震災で被災した企業へ「ユビレジ」を1年間無償提供、さらに同年9月に「ユビレジ2」をリリースしました。
2012年になるとiPadの無料レンタルを開始、同年7月には無料プランを導入しています。つまり、POSレジ機能だけなら月額利用料のかからない無料での使用を続けることも可能なのです。ただし、できることには制限があるので、無料使用は小規模の単一飲食店向けと言えるかもしれません。

ユビレジは月額無料から利用できますが、月額5,000円(一店舗ごと)のプレミアムプランから有料で各種サービスを使えるようになります。さらに「FlickOrder(フリックオーダー)」をインストールしたiPhoneまたはiPod Touch は6台まで月額3,500円と、導入費用を考えてもかなりのローコストです。ほかにもお店の規模に応じてプランを用意、それに収まらない規模や独自性がほしい顧客にはカスタムメイドのプランも揃えています。(※金額はいずれも税別)

導入にあたっては、インターネット回線の開通、店舗のLAN敷設や機器の設置までユビレジでサポート。キャッシュドロワーやキッチンプリンター、レシートプリンター、ネットワーク機器などもiPadやiPhoneとの相性を検証済の製品を用意しています。
さらに、面倒な最初のメニュー登録もサポートしており、顧客側の状況に応じてサポート範囲を選べるようにメニューが用意されています。
デモ用で一週間ほど貸出しを希望され、そのまま導入に至るお客様も増えているとか。

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▲ユビレジで用意している周辺機器。いずれも補助金対応で、iPadを含めてお金が規定額分戻ってきます。こちらはスリムな大型キャッシュドロワーと、カードリーダー。カード決済にも対応します。コンパクトな一体式も用意。

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▲キッチンプリンターでオーダーを受けたらその場からデータを送信、出力できます。

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▲動作確認をしたネットワーク機器。インターネット接続のトラブルはないにこしたことはありません。

日本語だけでなく英語にも対応、オーストラリアやシンガポールなど2016年の現在では世界20,000店舗以上で利用されるまでになったというユビレジですが、ここまで普及するのにブレイクポイントはあったのでしょうか。株式会社ユビレジの事業統括ディレクター・菱田健太さんにお話を伺います。

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▲株式会社ユビレジ事業統括ディレクター・菱田健太さん。

「アカウント数はおかげさまで毎年、右肩上がりで伸びております。これまで契約が大幅に増えた機会は2回ほどありまして、1回めは消費税8%へ増税したタイミング、2回めはまさに今で、軽減税率対策補助金が先取りで実施となった今年です。iPadは1/2、周辺機器は2/3ほど補助金が出ますので、大きいですね。周辺機器も含めた当社のパッケージですと約30万円前後かかるのですが、補助金が戻ってくるので、iPadも含めて約10万円で一式揃えられます」

既存のPOSレジだと、税率の変更は大問題。1台ずつ有償で変更税率に対応したソフトをバージョンアップしてもらうなど、コストも大きくかかります。将来実施されるであろうさらなる増税ではものによって税率が異なる軽減税率が適用されるのですから、より大変なこととなるでしょう。

それが今はiPad POSレジにも補助金が認められ、少ない元手でお店がスタートできるというわけで、顧客数が伸びているのも納得できます。ちなみにこれが旧来のPOSレジだと、一店舗で200~300万円ほどかかってしまうのだとか。補助金が出たとしても大きな出費で、特に新店のオープンでは負担も大きいし、ランニングコストも月10万単位となると軌道に乗るまで出て行く固定費としてもしんどい金額です。

こうした意見は、固定費の多くなる多店舗チェーンほど多く聞かれるといいます。

「ユビレジは飲食店チェーン、複数店でのお客様に強いですね。多店舗管理は他社で対応していない場合もある機能。売上共有や、全店に一斉にメニュー配信をするなど、店舗数が多いチェーンほど大変な作業を簡単に、ウェブブラウザベースの管理画面で実現できてしまいます。個店のお客様はほかのメーカーさんのほうが強いかもしれません。全体でも飲食店のお客様が多く、これから飲食店を始められるような方に多く選んでいただいている、と感じています」

これは当初からのユビレジユーザーが飲食店に多く、その声をシステムにフィードバックしていった結果ではないかといいます。
たとえばチェーンでメニューを変更する場合、管理される方が情報を書き換えて一斉に配信することで全店のユビレジに変更が反映されます。これも店舗単位で行なうと大変なことになりますが、こうした日常の手間を軽減するのにSaaS型POSシステムは向いているのです。

「導入コストが従来のPOSレジより安いのはもちろんですが、ランニングコストで考えてもはるかに低コストで済みます。それは、たとえ中古でハードを安く購入しても同じです。結局、メニューの変更などで手間がかかりますし、メンテナンス代もばかになりません」

さらにユビレジに限らずSaaS型POSシステムでは、データはインターネットを経由したクラウドサーバーの中へと即座に送られ、保存されます。システム本体もクラウドにあり、従来機では大騒ぎだった税率の変更も対応しやすいのです。管理画面から操作できるため、お店のシステムを止める必要もありません。

iPadのメニューを管理画面から更新するのは他社でもできるそうですが、ユビレジではiPadだけでなく、オーダーを取るためのiPhoneやiPod Touchでも同様に管理者が変更を配信できます。飲食店ではオーダー端末も重要で、オーダーをキッチンプリンターに即座へ送信、キッチンはすばやくプリントアウトに従って料理を作り始めるという仕組みです。料理とドリンクの出し分けも対応しています。

「オーダー端末のiPhoneのメニューも含めて連動できるのは、弊社の特徴かもしれません。そこをクラウドで連動できる仕組みは弊社の強味とも言えます」

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▲顧客をメンバーズカードなどで管理している場合は、飲食データを紐付けることもできます。

APIをオープンにして積極的にサービスと連携

しかし、ユビレジは単なる便利なレジシステムではないと菱田さんは言います。

「iPad POSレジには、安い、カンタン、早い、みたいなイメージがありますが、私どもは、売上向上の分析ツールだと思っています。なので、ユビレジでお店の売上を向上させましょうという打ち出し方をしています。そのための分析機能を有していますし、商品分析やリピーターを増やすための顧客管理なども搭載していることをアピールしています」

ユビレジの管理画面はウェブブラウザベースなので、売上を確認したり、経営分析をするのも、PCが必ずしも必要なわけではなくiPadやiPhoneで見ることができてしまうので、移動中でも閲覧可能です。これは忙しいオーナー、経営者にとっても便利。

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▲ウェブブラウザのグラフでわかりやすく売上データを表示。

「3店舗くらいまでは、オーナー様が体感としてお店を把握できるのですが、それ以上の店舗数になると難しくなります。そこをITでわかりやすく、迅速に把握できるようにするというところで使っていただくのが大きなところかと思います」

ユビレジでは全店すべても、各店舗ごともリアルタイムの売上を見ることができます。月ごと、週ごと、日ごとなどで比較して売上を比較でき、要因を検討するために商品ごとの売上げ状況も見られます。これによって、売上が下がった要因をいちはやく突き止め、改善できることに役立つわけです。

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▲連携サービスのひとつ、CRMを担う「ユビレジ for Salesforce」の分析画面。顧客の売上を上げるツールとして欠かせません。

こうした売上分析だけでなく、現在はさまざまな決済サービス、CRM(顧客関係管理)、店舗管理システムがあるので、連携を広げて顧客の選択肢を広げてみたいといいます。

「弊社では連携まわりを重要視していまして、独自性よりもオープンにしていきたいと思っています。APIも公開していますので、連携したいベンダーさんに利用いただいて、個別で完結できないならフェイス・トゥ・フェイスで協力していったりしています。POSというのは、いろいろなものとつながるポイントだと考えていますので、さらに強化していきたいと思います」

現在、ユビレジが提携しているサービスは、分析機能に優れ、日報や月報も指定フォーマットで作成できる世界最大のクラウド型CRM『Salesforce』も含めた12サービス。予約、決済、ポイント、仕入れ、会計、経営(原価・勤怠・予実)管理、在庫管理をサポートするものです。各分野の選択肢が増えれば、システム導入前に使っているサービスがそのまま流用できる可能性も高くなり、それが導入の決め手になることも考えられます。
そうなると、iPad POSレジは菱田さんが言うとおり、連携することでさらに成長していくシステムなのかもしれません。
そういう意味では、提携サービスも導入するうえできちんと見ておく必要もあるといえそうです。

ユビレジ | 店舗の売上向上を実現するiPadを利用したPOSレジ
https://ubiregi.com/ja

著者プロフィール

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梅田勝司
1964年生まれ。1997年に10年以上に渡った業界新聞、男性誌の編集を経て独立。以後、 フリーのライター・編集者として活躍。のち、株式会社アールイーを設立。コンテンツ全 般、IT系、社会情勢など、興味の赴く対象に節操なく本の作成、ライティングを行う。

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