防犯だけじゃない!ネットワークカメラは系列店の混雑状況の把握や店舗間送客にも役立つ

【ざっくり要約】

  • 新製品が続々! ネットワークカメラで防犯コストを抑制できる
  • iPadで映像を確認でき、お店のすべての情報をタブレットに集約
  • 店内の混雑状況をリアルタイムで把握し、ヘルプの判断や2号店へ誘導に
     

加熱するネットワークカメラ市場!
新機能を搭載した機種が続々と登場

インターネット経由でスマホやタブレット、PCなどでリアルタイム映像や録画を再生して観ることができる「ネットワークカメラ」市場が加熱しています。一台あたり5000円から1万円前後の価格帯で、筐体もコンパクト。室内に設置しても違和感がないデザインで、音声を出すことができたり、カメラの向きを再生している端末から操作できる機種もあったりで、機能も多彩です。

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▲I/O DATAの無線LAN対応ネットワークカメラ「Qwatch(クウオッチ)」。
暗視機能付きモデルの「TS-WLC2」。スマホ、タブレット、PCで映像を見ることができます。

こうしたネットワークカメラ市場は、当初、留守中のホームセキュリティを意識したものでした。ところが、ユーザー側は別室にいる小さな子どもの見守りをしながら家事や作業をする、留守中にペットの様子を見守るのに利用するなど、新しい使い方をしていました。老親の介護にも便利で、動きがあれば検知して録画と通知をしてくれる機能を搭載した機種は人気も高く、メーカー側もいろいろな使い方を案内するようになりました。

このネットワークカメラは、小規模なオフィスの防犯カメラとしても多く利用されています。警備会社と契約すればかけつけサービスも考えれば万全なのは分かっていますが、そうそう泥棒が入るわけでもありません。できれば防犯コストは最小限に抑えて、その分を業務に向けたいのが経営者の本音。ネットワークカメラは、そうしたニーズをもとらえたのです。

防犯ではなく客誘導の判断に観て分かるカメラを導入した「東京オーブン」

このネットワークカメラを、防犯ではなく、近くの系列店への客誘導の判断というユニークな使い方をしているお店があります。東京・神田の人気ワインバル「東京オーブン」です。混雑時は本店に入りきれないほどお客さまが押し寄せるようになり、すぐ近くに2号店「東京オーブンプチ」をオープンさせ、双方のお店にネットワークカメラを設置、お店の混雑状況をiPadのアプリにリアルタイムで配信される映像を確認、空いていれば2号店へと誘導しているとか。

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▲神田駅西口にあるワインバル「東京オーブン」本店。南部鉄器を使って調理される産地直送素材を活かした料理とワインが人気のお店。
ランチタイムも営業中。「出世不動尊」のすぐ隣という立地です。
東京オーブン http://r.gnavi.co.jp/gapj901/ 予約はこちら

この使い方に行き着いた理由を、「東京オーブン」を経営する株式会社テンプルボーイの代表取締役・渡邉真祐さんに伺ってみました。

ーーーお店でネットワークカメラを導入する場合、通常防犯目的かと思っていたのですが。

渡邉 全然違いますね。じつは2012年11月のオープンにあたって、レジが高価だったのでiPadのレジアプリ「スマレジ」を導入したんです。それを使うために光回線を引くことになり、どうせなら使わないともったいないと(笑)。
もうひとつ、予約台帳サービスの「トレタ」を導入して、iPad上で予約管理ができるようになりました。そうすると、多くの飲食店がそうだと思いますが、劇的にお店のiPadの数が増えていくんですよ。うちも2店舗で5台持っています。
その後、急速にスマホとタブレットが伸びてきて、格段に便利になった。もうお店にPCはいらないほどです。そこで、ノートパソコンとかを使わずにデジタルは全てiPadに集約できないかなというふうに発想が移っていったんですね。それで「トレタ」「スマレジ」に加えて、決済用の「スマートベイ」、宣伝用に「FaceBook」への投稿、店員への連絡には「LINE」というぐあいです。

ーーーそこにさらにネットワークカメラのアプリと。

渡邉 お客さまも、どうしても当店に来たかった方なら多少は待っていただけますが、通りからふらっと来たお客さまに「3分待ってください」と言っても待ってくれません。ですから、空席の確認もスピード感重視。そんな時に防犯カメラを見つけました。店内が見やすいところに一個あればそれで十分でした。お店の混み具合が画面を見ればすぐにわかるので、店同士でやりとりする必要もありません。また、私のいる事務所がお店から歩いて5分ぐらいのところにありまして、PCで画面を立ち上げて仕事をしています。お店が処理オーバーになってたら、それを見て駆けつけると。そのタイミングを図るのにも役立っていますね。

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▲本店から100メートルほど離れたところにある2号店。予約や宣伝は本店に集約している。
セキュリティカメラで2号店の混み具合を確認してお客さまを誘導。

ーーーカメラの導入に当たって、スタッフから不満の声は上がりませんでしたか?

渡邉 それはないですね。飲食店の防犯カメラだったら、本来ならレジを向いてると思うんですが、客席が対象です。音も聞こえるカメラなので、最初は厨房の中に置いてみたんですよ。そしたら厨房で何を話してるか全部聞き取れる。従業員がちゃんとやってるかを把握したい経営者が、店を監視するのに使えるとは思いました。僕はそういう意味合いでは使ってないですけど。あくまで店の空き状況を確認するためです。店を巡回するタイミングを図るのにも重宝しています。

ーーーお客さまの反応はいかがですか?

渡邉 店舗間送客の際は、お客さまに映像画面を観ていただいています。「今、こんな状況なんで、大丈夫だと思います」ということで、2号店にご案内していますね。カメラの映像はとくに保存はしていません。なかには気分を害されるお客さまもいらっしゃるかもしれないので、カメラの存在はアピールしませんが、隠しカメラにもならないように気を遣っています。

ーーー2店でこの便利さなら、系列店がさらに増えてもカバーできますね。

渡邉 そうですね。あと、維持費が安い。機械を買うだけなので。設置も難しくないので自分で出来るから、初期費用も取られない。光回線も安くなってきたし、チェーン店を展開するお店には最適だと思います。ちなみに、経営者の勉強会でこの画面を見せると食いつきがいいですよ。

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▲「東京オーブン」の経営会社、株式会社テンプルボーイ・代表取締役/渡邉真祐さん

飲食店はIT化で劇的に変わる!
すべてをタブレットに集約したい

渡邉さんは、飲食店はこれからIT化によって劇的に変わっていくと考えています。ネットワークカメラの導入も、その構想の中で見い出したもの。ネットワークカメラの中には、クラウドサービスの補完容量を月額で販売しているメーカーもあります。また、進化するセンサーをカメラと組合せた製品も多く、購入ではなくやはり月額利用料という形で利益を上げている企業もあります。

携帯キャリアもセキュリティカメラを販売しており、トータルのホームセキュリティ・サービスの一メニューとして提供しています。

これらは、今後、無料に限りなく近くなっていくのではないか、と渡邉氏は予測します。そして、店舗での端末はタブレット。飲食業界の店舗スタッフはPCに不慣れな人も多いと、渡邉氏は言います。しかし、多くの人はスマホでの文字入力には慣れています。しかし、お客さまの前でスマホでの文字入力はプライベート感が強すぎるでしょう。だから、タブレットなのです。

つまり、今後の飲食店のIT化はセキュリティカメラ画面も含め、タブレットに集約されていくのかもしれません。IT化の波から取り残された飲食業界ですが、それだけにこのような商品の独自な使い方は「あり」でしょう。

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▲「かぞくを見守る最新GOODS」(双葉社・刊)。
ネットワークカメラは暗い中でも対応する暗視対応のものや、
動体検知で自動的に録画を開始するものもあるなど、
基礎知識も掲載されています。

 

著者プロフィール

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梅田勝司
1964年生まれ。1997年に10年以上に渡った業界新聞、男性誌の編集を経て独立。以後、 フリーのライター・編集者として活躍。のち、株式会社アールイーを設立。コンテンツ全 般、IT系、社会情勢など、興味の赴く対象に節操なく本の作成、ライティングを行う。

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