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  • 2016.10.12

【レポート】FOODiT TOKYO 2016「FOODiT未来総研が大胆予測!外食産業の10年後はこうなる」(後編)

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【レポート】FOODiT TOKYO 2016「FOODiT未来総研が大胆予測!外食産業の10年後はこうなる」(前編)では、10年後は600万人の労働人口が減少すると予測される中、AIやセンシングの技術の進化に期待を寄せるという意見が挙がりました。

2017年には、一流のシェフの味を再現するコンシューマー用の調理ロボットが販売されるそうです。調理方法のデータもデジタルで共有されるようになるのでしょうか。

テクノロジーの進化によって新しい職業が生まれる


株式会社トレタ 代表取締役 中村仁

中村 クックパッドなどのレシピ共有サイトが、このあたりをやると予想できますね。レシピデータに調理技術のデータを合わせて、ネットで流通させて、それを家庭のロボットで再現することを可能にする。

子安 料理人の側からしたら、夢のある話です。今までは来店するお客様しか相手にできないし、席数で売り上げ決まっていたのですが、こういうシステムができたら世界中で自分の料理を出せるようになると、高い技術を持つ人であれば、そのデータがお金を稼いでくれる。亡くなったとしても、技術を遺産として残せます。

株式会社カゲン 取締役 子安大輔氏

中村 DJという職種があります。DJは自分で音楽を作るわけでなく、アーティストが曲を作って演奏したものを選択してつなぎ合わせ、再パッケージにする仕事なんですよね。料理技術もデータ化されると、料理人ではない第三者が自由に取捨選択して組み合わせて提供するなんて仕事が生まれるかもしれない。いわば「フードDJ」です。

プロジェクションマッピングで空間を持ってくる、料理を世界中からセレクトして持ってくる、これをパッケージして売る編集作業みたいなことをして、キュレーションするというようなことも、もしかしたら新しい職業として出てくるよね。

VRの技術が発達したら、自宅でありながら他の空間にいるようなコンテンツも提供できるようになることは十分に考えられます。また、遠く離れた友人と同じ場所で食事しているかのような、VR飲み会なんてこともできるでしょう。

そして前述した調理ロボがレシピデータを共有して同じ料理を作れば、空間、そして距離の制限がなくなります。VR上では、人の召還ができるので、自分の部屋を飲食店のように見せることもできてしまう。そうすると飲食店の場づくリとは何か、空間ってなんだっけと根本的に変わる可能性もある。

カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役社長 楠本修二郎氏

楠本 UBERやAirbnbなど、新しいシェアリングエコノミーの一種と言われています。飲食店もそうなるとすると、地方が面白くなると思いますね。本来はレストランではない空間にレストランが出現するエアレストランみたいなものが増えるのではないかと思うんです。

また街が変わるというのはどういうことかというと、街と地方の関係性が一極集中ではなく分散型になるということですから地方にもポジティブなチャンスが生まれるということです。あと予防医療との連動みたいなのもテクノロジーの進化でどんどん進んでいくだろうし、この5年間で相当新しい領域になっていくのではないでしょうか。 世界が変わるなら、先鞭をつけるのも1つの手。

子安 今回の未来総研のシナリオを一緒に考えていくにあたって、一瞬、暗い気持ちになってしまったのが正直なところです。飲食店に本当に未来があるのかどうか。結論としては、テクノロジーの進化が来る来ないという話は、10年後かどうかはさておき、来てしまうのだと思っているんです。それを望む望まないというのは別の話なのですが、来ると分かっていれば、それにどうやって関わっていくかというのは考えざるを得ないかなと思います。

例えば、自動運転やドローン、ウェアラブル端末のニュースが多いと思うのですが、飲食に関わるみなさんがそれを自分事としてとらえているという感じがあまりしません。それは自動車業界の話でしょ、タクシー業界の話でしょ、と。テクノロジーの話と飲食店が、非常に分断されていると感じます。

ただ、10年くらいのスパンで考えると、一気にその距離が近づいてくるはずです。自動運転によって、デリバリーの概念がガラッと変わる可能性がありますよね。宅配ピザの拠点に超高性能超マシーンが入り、自動運転やドローンで自宅に届けられるとなると、人件費の概念が全く変わってしまったりする。そうなってくると「あれ? 飲食店って行かなくていいんじゃないの?」という話が起きてしまう可能性があります。

だとしたら、自分たちにそういう未来が来るのだとしたら、先にやるというのも手でしょうし、違うことを考えるということも手でしょう。今日ゴールとしては、そういうところに対して関心とか、自分事になってもらうというのが大切かなと思っています。

ーーリモートワークが増えて外出の機会が減り、自宅でもおいしい料理を美しい空間の中で食べられるような未来。でも、リアルなエクスペリエンスを求める声はなくならないでしょう。

だからこそ、他業種であっても今起きているイノベーションを理解し、それを自分たちの業種に転換するのか、もしくは新たなチャレンジをするのか。どの答えが適切なのかは、ポジションによって異なるかも知れません。しかし、だからこそ未来を考え続けることをやめてはならないのではないでしょうか。

(※一部内容を変更しています。2017年6月8日)

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  • この記事を書いた人

    武者良太

1971年、埼玉県生まれ。80年代後半からライター活動をはじめ、90年代に出版社に入社。編集、撮影、デザインのスキルを身につけ、再度フリーランスに戻る。ギズモードジャパン、モノマガジン、デジモノ、Wired等のメディアに寄稿。元Kotaku Japan編集長。