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  • 2016.10.12

【レポート】FOODiT TOKYO 2016「FOODiT未来総研が大胆予測!外食産業の10年後はこうなる」(前編)

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2016年8月22日、外食業界のリーダーたちが一堂に集結したカンファレンス「FOODiT TOKYO 2016」(主催:株式会社トレタ)が、東京・丸の内のJPタワーホール&カンファレンスにて開催されました。昨年に続き、2回目の開催となる今回は「未来の外食創造へ。さらに深く、一歩先に。」と題し、飲食業界が抱えるさまざまなテーマを軸に、これからの業界のあるべき姿についての講演やパネルディスカッションが繰り広げられました。

クロージングセッション「FOODiT未来総研が大胆予測!外食産業の10年後はこうなる」では、株式会社トレタの代表中村とCMOの瀬川が、新しい外食産業を切り開いてきたキーマン(カフェ・カンパニー株式会社 楠本修二郎氏、株式会社カゲン 子安大輔氏)とともに未来を予測。前編・後編の2回に分けてレポートします。

かげりが見える10年後の社会

瀬川 2010年から4年間で、8%から64%と劇的に急拡大したものがあります。それはスマートフォン。現在は、スマートフォンで飲食店を探したり、予約するのが当たり前ですが、2008年以前では見られませんでした。SNSも2010年時点の利用者は300万人でしたが、2014年には2400万人にもなっています。10年間は、遠い未来でもないですが、世の中の風景を大きく変えてしまうには十分な期間です。

株式会社トレタ CMO 瀬川憲一

瀬川  だからこそ10年先を考えなくてはいけない。2025年には総人口が600万人減少し、高齢化率が30.3%に上昇すると言われています。

最悪な予想ですが、この10年間で600万人の労働人口がなくなります。今の労働人口は6000万人位ですから10%がなくなる。すべての業界で、同じだけ減るとしたら、10人に1人がいなくなります。

ーーそのような予測が立てられる中、2016年6月にトヨタ自動車は総合職の在宅勤務制度を大幅に拡充するというリリースを出すなど、労働力を確保するために、大手企業が動き始めています。会社に来なくてもいいから働いてほしい。そんな時代がやってきます。時間や場所にとらわれない多様な働き方を認めるというか、認めざるを得ない社会がやってきます。つまり、交通量も変わり、街の形も少しずつですが変化するでしょう。

こうした社会全体の変化によって、結果として外食人口が減少していくのではないかというわけです。しかし、その一方で、海外からの訪日旅行者は年々増え続けており、今後さらにインバウント需要が大きく拡大するだろうという予測もあります。

カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役社長 楠本修二郎氏

楠本  2015年のインバウンドは1900万人でした。政府は2030年までに6000万人を目指すと上方修正しました。ここ数年で海外からの旅行客が増えて、街の景色がめちゃめちゃ変わりましたよね。これがさらに6000万人になると、すごいインパクトです。なので、外食業界でポジティブな要素を考えましょうと。英語を喋れる喋れないの問題ではなくて、日本全体がやはり楽しくて、美味しくて、素敵であればそこに来たいなということですから。外食あるいは観光、農業と、産業の垣根を作らずに、ひとつのウェルカムチームとして、盛り上げてけたらいいですよね。

テクノロジーによって現場の形が変わっていく

ーー10年後の外食産業において、まず考えられるのがAIの発展によるスタッフのサポートテクノロジーです。お客様の注文履歴は今のシステムでも確認できますが、AIとセンシングの技術によって健康状態や感情などを把握。スタッフにその情報をリアルタイムで伝え、お客様の求めるものに一番フィットした料理を提案する。ホールスタッフの裏側で、機械からそんなアドバイスをもらいながら接客を行うようなバックヤードシステムが実現するかもしれません。このシステムがあれば、もはや接客は人間のスタッフではなく、ロボットや、画面内のアバターが受け持ってコミュニケーションすることも十分可能になります。


株式会社トレタ 代表取締役 中村仁

中村 高度な接客ができるスタッフは重要な戦力でしたが、機械にも高度な接客ができる世界がくるかもしれない。お店の付加価値はどこにあるのか、という議論が出てきそうです。

楠本  外食がすごいのは、やはり接客。つまり、お客様を持っているということ。農家、食品メーカー、あるいは白物家電メーカーにとっても、このお客様を持っている感覚は絶対にないものです。これはAIで学ばせることはある程度はできるけれども、それを先手を取ってコントロールして、この方向に行くぞという指示出しをするのは、やっぱり外食なんだ僕は思いますね。

(※一部内容を変更しています。2017年6月8日)

【レポート】FOODiT TOKYO 2016「FOODiT未来総研が大胆予測!外食産業の10年後はこうなる」(後編)に続きます。

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  • この記事を書いた人

    武者良太

1971年、埼玉県生まれ。80年代後半からライター活動をはじめ、90年代に出版社に入社。編集、撮影、デザインのスキルを身につけ、再度フリーランスに戻る。ギズモードジャパン、モノマガジン、デジモノ、Wired等のメディアに寄稿。元Kotaku Japan編集長。