飲食店で働く人のための情報マガジン by トレタ

レポート
2016年9月9日

【レポート】FOODiT TOKYO 2016「地方で急成長を続ける『ヤンキーの虎』に学ぶ、外食産業『成長のシナリオ』」

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2016年8月22日、外食業界のリーダーたちが一堂に集結したカンファレンス「FOODiT TOKYO 2016」(主催:株式会社トレタ)が、東京・丸の内のJPタワーホールカンファレンスにて開催されました。2回目となる今回は「未来の外食創造へ。さらに深く、一歩先に。」と題し、講演やパネルディスカッションが繰り広げられました。

「明日のレストラン」では、大きな注目を集めた数々のプログラムから、代表的なセッションをレポートします。


<登壇者>レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役社長 藤野英人氏
1966年富山県生まれ。1990年早稲田大学法学部卒業。野村投資顧問(現野村アセットマネジメント)、ジャーン・フレミング投信・投資顧問(現JPモルガン・アセット・マネジメント)などを経て、2003年レオス・キャピタルワークス創業、CIO(最高投資責任者)に就任。2009年取締役就任後、2015年10月より現職

経営者で分かる成長企業の見極め方

日本株運用の大手企業のひとつであるレオス・キャピタルワークスの運用哲学は「アクティブ主義」。「経営者がいい会社に投資する」が基本的な考え方だそうです。「成長企業の見極め方のポイントは3つある」と語ります。

「1つめは、意思決定がシンプルであること。20人の優秀な経営陣の合議制より、1人の平凡な経営者の真剣で速やかな意思決定のほうがいい結果を生むことが多いです。2つめは長期的な目線で考えること。オーナー経営者が指揮を執っている方が目線が長期になります。3つめは、徹底した顧客目線」。

投資したい外食産業の条件とは?

「外食産業の魅力のひとつは『インターネットで置き換えられない』ことです。ネットで置き換えられる業態は多くの会社が浸食されています」。

外食産業は「エンターテインメント産業』だと藤野氏は語ります。「食べることの本質は生きるためである一方で娯楽でもあります。人間の体は食べ物で成り立っているという意味で、『健康産業』でもあります。そして、デートや接待の場など『コミュニケーション産業』でもあります。投資の際はこの会社の持つ機能に注目しています」。

投資家が注目する外食産業の事業環境

現在の外食産業の事業環境として、藤野氏は、デフレや円高、事業環境の変化、消費税増税以降の消費者心理の低迷などがあると指摘します。

「『断捨離』という言葉が流行するなど、節約する生き方に道ができ、より財布のひもを緩ませることが難しくなったのではないか。ここ半年間のデフレ関連銘柄の復活はそれを証明しています。今のマーケット環境や円高が進むとなかなか厳しいですね」。

もう1つ重要なのが「消費者の二面性』だと藤野氏は指摘します。「例えば寝ずにスープを仕込む家族経営の店は高評価ですが、チェーン店で寝ずに働くと『死ぬまで働かせるブラック企業』と評価されてしまう。チェーン化した店に対しては人間の個別のがんばりを許さないみたいな風潮があります。『個店化の徹底化』か『圧倒的な信頼のブランドを作る』か。中途半端なブランドではブラック店をたくさん作ることになっていまいます」。

ヤンキーの虎──地方発成長企業の誕生

藤野氏の著書である『ヤンキーの虎──新・ジモト経済の支配者たち』、このヤンキーの虎とは、地方発成長企業のことです。

「新しい業態ではなく、ケータイ販売店やコンビニ、水の販売、保険代理店、不動産賃貸業、介護施設運営などを組み合わせて生きている人たちが地方にいっぱいいます。実は地方ですごくうまくいく戦略です。ようするに、地方の顧客に対してフランチャイズビジネスを束ねて提供している地方豪族がヤンキーの虎ということです。キャッシュフローが回っており、事業計画が立てやすく、地方銀行からすれば数少ない貸し手です。これらの会社は伸びています」。

ヤマダ電機、カラオケまねきねこ、しまむら、ニトリ、ドン・キホーテ、CoCo壱番屋、ユニクロなど、全国チェーンになった会社も、もともと『ヤンキーの虎』だった会社が多くあるといいます。

「ヤンキーの虎はこれまで過小評価されてきましたが、この人たちの成長力は地元の情報を知り尽くしていること。メガフランチャイジーとして成長する可能性があります。全国的にこういう会社がたくさん出てきており、年率10%、20%で伸びています」と藤野氏は分析します。

団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者になり、団塊ジュニア世代がすべて50歳代になる2025年には総需要が減ります。必ずヤンキーの虎同士の戦いになり、マーケティング力、資金調達力、ブランド構築力、人事考課システムなどが必要になる時代が来ます。今から近代的な仕組みを導入することで、過当競争の時代に勝ち残れます」。

「2025年問題」を乗り切るための長期的戦略が重要

藤野氏は「2025年」というキーワードを何度も挙げ、企業にとってこれから約10年が正念場であることを強調しました。

地域に根ざし急成長する「ヤンキーの虎」に着目すべきという藤野氏の主張は「投資したい外食産業の条件」という話と相反するようにも思えます。しかし、数多くの事業を手がけることで着実に利益を生み出す「ヤンキーの虎」には注目すべきポイントがたくさんあり、そのための準備を怠ってはいけないのではないでしょうか。

(※一部内容を変更しています。2017年6月8日)

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安蔵靖志
この記事を書いた人

IT・家電ジャーナリスト 家電製品総合アドバイザー。AllAbout 家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ〜ンの家電ソムリエ」に出演中。日経DUALにてコラム「使って、作って、食べてみた! お弁当男子×家電」を連載中。

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