【レポート】飲食店に直撃!悪質な「無断ドタキャン事件」を防ぐ方法とは

【ざっくり要約】

  • 「無断キャンセル」の炎上騒動がまたネットで話題に
  • 飲食店が手がけている様々な防止策とは
  • 大切なのは「サービス業の基本」に立ち返ること

先日、一件の「無断キャンセル」がネットで話題になりました。
ある学生サークルが居酒屋に新歓コンパで50人の予約を入れたものの、連絡なしにキャンセル。気持ちの収まらない居酒屋従業員がツイッターで告発したことで「炎上」騒ぎになったというものです。

・「食材が無駄になりました...警察行きますよ」 居酒屋をブチ切れさせた早大サークル「予約」バックレ : J-CASTニュース
http://www.j-cast.com/2016/04/06263440.html

「無断キャンセル」「No Show」「バックレ」……言い方はいろいろですが、こういったトラブルの話題が最近はネット上で多く見られるようになりました。
こうしたマナー違反を問題視する声は徐々に広がってきており、たとえば次のような「無断キャンセル、ダメ、ゼッタイ!」を広く呼びかける記事が、さまざまなメディアで取り上げられることも増えてきました。

・予約のドタキャンする人は仕事も出来ない、モテない「空気読めない人」:トレタブログ
http://toreta.blog.jp/archives/18010173.html
・飲食店が『ドタキャン』されるより困ることは?:トレタブログ
http://toreta.blog.jp/archives/49651546.html

とはいえ、なかなかゼロにはならないのが無断キャンセルです。いくつかの飲食店の方にお話を伺ってみたところ、さすがにニュースネタになるような大人数の無断キャンセルが頻発しているわけではなさそうですが、ほとんどのお店で多かれ少なかれ発生しているようです。多いところでは「月に10件ぐらいはある」というケースもありました。
では、いままで実際に体験した悪質な無断キャンセルにはどんなものがあったのでしょうか。尋ねてみたところ、本当に様々なケースがあるようです。

「数日前までは連絡が取れていたのに、当日お客さまがいらっしゃらず、連絡しても電話に出られないというケースがありました。あとになって『キャンセルの連絡を忘れていた』と謝られましたけど」(肉料理専門店経営・Aさん)
「貸切でご予約いただいたお客さまと、当日になって連絡が取れなくなってしまって、とても困ったので警察の方に相談したことがあります」(洋風居酒屋店長・Bさん)

また、正確には無断キャンセルではないもののこんなケースも。

「つい先日、20人のご予約だったのに最終的に4人しか来られなかったということがありました。早めに連絡さえくれていたら、ちゃんと席を埋めることができたのに」(焼鳥店チェーン経営・Cさん)

無断キャンセルはなぜ起こってしまうのか

それにしても、どうしてこんなことが起こってしまうのか。お店の側ではどんなふうに考えているのでしょうか。

「お客さまが複数の店に電話をして『仮押さえ』のつもりで予約しているからではないかと思います。お客さまにとっては『仮』でも、うちにとっては他の予約と変わらないんですが」(イタリア料理店店長・Dさん)
「早い時期に入った予約の場合、予約したことを忘れてしまっているということも考えられます。食事会を企画して、適当な人数で店を押さえたものの、結局人数が集まらずに食事会そのものがなくなったのにキャンセルするのを忘れてしまう、とかありがちですよね」(Aさん)

お客さまが「わざと黙ってバックレる」ということは、さすがにほとんどないだろうというのが共通した受け止め方。無断キャンセルは、お客さまが「ついうっかり忘れてしまう」ことによって発生してしまうことがほとんどだというふうに、お店側は考えているようです。

ただ、このところネット予約が増えてきたことによって「予約が簡単になったぶん予約という行為を軽くみてしまい、予約そのものを簡単に忘れてしまう傾向もあるのかもしれない」とCさんは指摘しています。
ネット予約は便利だし、お店側にとっても予約が受けられなかった時間に予約が取れるようになってとても助かります。しかし、その一方で「本当は店側から伝えたい注意事項も読んでもらえてたりいなかったり。お客さまと店とのコミュニケーションという点ではどうしても弱くなってしまうと感じる」という声もありました。

電話確認にリマインドメール……お店が手掛ける防止策いろいろ

こうした無断キャンセルを防ぐための方法はないのでしょうか。みなさんに対策を聞いてみました。
そのひとつが予約受付時に、万一の場合に備えて連絡先をきちんと確認しておく方法。「大人数の予約の場合、個人の電話番号だけではなくて勤務先の連絡先を聞くようにしている」とBさんはいいます。連絡先を複数聞いておくことで連絡を取りやすくするだけではなく、勤務先名を聞くことで「バックレたら会社に迷惑がかかるかもしれない」というふうに思わせるという効果も期待できそうな対策です。

また「1カ月以上先の、10名を超える団体予約は受け付けない。ネット予約の場合は6名以上の予約を受け付けないように設定している」(和食レストラン店長・Eさん)というぐあいに予約の受付そのものを制限して、万一の場合のリスクを軽減しているというお店もありました。

なかでも、もっとも現実的な方法として「リコンファーム(事前の予約確認)」を実施しているお店が多く見られます。
Eさんのお店では「団体予約の場合は、必ず前日に電話で確認を取っている」といいますし、Aさんも「とくに10人を超える団体や2週間以上前に予約を受け付けている場合には、必ず電話で確認を取る」と話しています。
これはネット予約の場合も同様で、予約当日までの間に予約確認メールやリマインドメールを配信することが効果的だとか。Bさんによると「確認メールがあれば、お客さまが予約日の取り違えをしていたとしても気づいてもらいやすくなる。事前にキャンセルの連絡をいただけるなら、お店としては基本的に問題がありませんからね」

とはいえ電話やメールで連絡が取れない場合でも、お店側が勝手にキャンセルするわけにはいきません。お店としては「当日になっても来ないかもしれない覚悟をして予約を残すようにするしかない」(フランス料理店経営・Fさん)ということです。
いずれは飲食業界もホテル業界と同じように、キャンセル料を設定して、無断キャンセルの場合は全額負担となるような仕組みづくりが進むだろうと予想されています。現状では事前のカード決済登録やデポジットの取り扱い方法など解決するべき課題がたくさんありそうですが、いずれそういう世の中になっていくのは間違いなさそうです。

「飲食店はサービス業」基本に立ち返ることで、お客さまのマナーを変える

もちろん、そういったインフラの整備を待つだけでは「無断キャンセル」は減りません。Bさんは「まず何よりも『無断キャンセルはいけないことだ』という風潮が広まっていくことを期待したい」と話します。
ただ、だからといってTwitterやFacebookなどで自店が被害を受けたことをアピールすることについては批判的な姿勢のお店も少なくありません。「気持ちがわかるが、大騒ぎしてお客さまと敵対するようなことは避けるべきじゃないか。飲食店はサービス業だという基本に立ち返れば、まだまだやるべきことはある」と、Cさんは次のように話しています。

「以前うちの店ではTwitterで予約を受けていたんですが、無断キャンセルはゼロ。Twitterでのやり取りを通じて、お客さまと店とが仲良くなっていたからだと思うんです。だから自然と、お客さまの側に『キャンセルしたらあの人に悪いな』っていう気持ちが生まれる。ようするに、お客さまと店との心の距離が近ければ近いほど、無断キャンセルが少なくなるんじゃないかと考えています」

また、Aさんも同様の考えです。

「予約を受け付けるときに丁寧な応対をすると、お互いに多少は人間性が感じられるようなことがあります。『あの店は感じが良かったから、人数変更やメニューの変更もちゃんと連絡しないと申し訳ない』という気持ちを持っていただくようなこともあると思うんですよね」

仕組みによる無断キャンセル防止策は今後のテクノロジーの進化に期待するのが一番です。その一方で、飲食店としては当たり前のことかも知れないけれど「丁寧な応対」や「お客さまとの距離を縮める」といったホスピタリティをさらに強化していく方策を探っていくことこそが大切だというわけです。
たしかに、お店の応対・接客姿勢がさらに磨かれていけば、お客さまの意識も変わり、マナー違反としての「無断キャンセル」は少なくなっていくのかも知れません。

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