飲食店で働く人のための情報マガジン by トレタ

編集部セレクト
2016年6月14日

防犯だけじゃない! 飲食店のネットワークカメラ活用術

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インターネット経由でスマホやパソコンなどでリアルタイム映像や録画を再生して観ることができる「ネットワークカメラ」市場が加熱しています。一台あたり5000円から1万円前後の価格帯で、筐体もコンパクト。室内に設置しても違和感がないデザインで、音声を出せたり、再生している端末からカメラの向きが操作できる機種もあるなど多彩です。飲食店での活用術をご紹介します。

▲I/O DATAの無線LAN対応ネットワークカメラ「Qwatch(クウオッチ)」
暗視機能付きモデルの「TS-WLC2」。スマホ、タブレット、PCで映像を見ることができます。

加熱するネットワークカメラ市場!

ネットワークカメラ市場は、留守中のホームセキュリティを意識したものでしたが、ユーザーは別室にいる子どもの見守りをしながら家事をする、留守中のペットを見守るのに利用するなど、新しい使い方をしていました。動きがあれば検知して録画と通知をする機能を搭載した機種は人気も高く、メーカーもいろいろな使い方を案内するようになりました。

お客さま誘導の判断のためにカメラを導入

このネットワークカメラを、近くの系列店への客誘導の判断というユニークな使い方をしているのが東京・神田の人気ワインバル「東京オーブン」です。混雑時は本店に入りきれないほどお客さまが押し寄せるようになり、すぐ近くに2号店「東京オーブンプチ」をオープンさせ、双方の店にネットワークカメラを設置、店の混雑状況をiPadのアプリにリアルタイムで配信される映像を確認、空いていれば2号店へと誘導しているとか。


▲神田駅西口にあるワインバル「東京オーブン」本店。南部鉄器を使って調理される産地直送素材を活かした料理とワインが人気の店

この使い方に行き着いた理由を、「東京オーブン」を経営する株式会社テンプルボーイの代表取締役・渡邉真祐さんに伺いました。


▲「東京オーブン」の経営会社、株式会社テンプルボーイ・代表取締役/渡邉真祐さん

ーーー飲食店でネットワークカメラを導入する場合、通常防犯目的かと思っていたのですが。

渡邉さん 全然違いますね。実は2012年11月のオープンにあたって、レジが高価だったのでiPadのレジアプリ「スマレジ」を導入し、光回線を引くことになり、どうせなら使わないともったいないと(笑)。もうひとつ、予約台帳サービスの「トレタ」を導入して、iPadで予約管理ができるようになりました。そうすると、多くの飲食店がそうだと思いますが、劇的に店のiPadの数が増えていくんですよ。うちも2店舗で5台持っています。

その後、急速にスマホとタブレットが伸び、格段に便利になった。もう店にパソコンはいらないほどです。そこで、ノートパソコンを使わずにデジタルは全てiPadに集約できないかと発想が移っていったんですね。それで「トレタ」「スマレジ」に加え、決済用の「スマートベイ」、宣伝用に「FaceBook」への投稿、店員への連絡には「LINE」という具合です。

ーーーそこにさらにネットワークカメラのアプリと。

渡邉さん どうしても当店に来たかったお客さまなら多少は待っていただけますが、ふらっと来たお客さまに「3分待ってください」と言っても待ってくれません。ですから、空席の確認もスピード感重視。そんな時に防犯カメラを見つけました。店内が見やすいところに一個あればそれで十分でした。混み具合が画面を見ればすぐにわかるので、店同士でやりとりする必要もありません。また、徒歩5分の場所にある事務所のパソコンで画面を立ち上げて仕事をしていますが、店が処理オーバーになるのを見ては駆けつけると。そのタイミングを図るのにも役立っていますね。


▲本店から100メートルほど離れたところにある2号店。予約や宣伝は本店に集約している。セキュリティカメラで2号店の混み具合を確認してお客さまを誘導

ーーーカメラの導入に当たって、スタッフから不満の声は上がりませんでしたか?

渡邉さん ないですね。防犯カメラだったらレジを向ていますが、客席が対象です音も聞こえるカメラなので、最初は厨房の中に置いてみたら厨房で何を話してるかが全部聞き取れる。従業員の様子を把握したい時に使えるとは思いました。僕はそうは使ってないですけど。あくまで店の空き状況を確認するためと店を巡回するタイミングを図るのにも重宝しています。

ーーーお客さまの反応はいかがですか?

渡邉さん 店舗間送客の際は、「今、こんな状況なので、大丈夫だと思います」とお客さまに映像画面を観ていただいて、2号店にご案内していますね。カメラの映像はとくに保存はしていません。気分を害されるお客さまもいらっしゃるかもしれないので、カメラの存在はアピールしませんが、隠しカメラにもならないように気を遣っています。

ーーー2店でこの便利さなら、系列店がさらに増えてもカバーできますね。

渡邉さん そうですね。あと、維持費が安く、設置も難しくないので自分ででき、初期費用も取られない。光回線も安くなってきたし、チェーン店を展開する店には最適だと思います。ちなみに、経営者の勉強会でこの画面を見せると食いつきがいいですよ。

飲食店はIT化で劇的に変わる! すべてをタブレットに集約したい

渡邉さんは、飲食店はこれからIT化によって劇的に変わっていくと考えています。ネットワークカメラの導入も、その構想の中で見い出したもの。ネットワークカメラの中には、クラウドサービスの補完容量を月額で販売しているメーカーもあります。また、進化するセンサーをカメラと組合せた製品も多く、購入ではなくやはり月額利用料という形で利益を上げている企業もあります。

携帯キャリアもセキュリティカメラを販売しており、トータルのホームセキュリティ・サービスの一メニューとして提供しています。これらは、今後、無料に限りなく近くなっていくのではないか、と渡邉氏は予測します。そして、店舗での端末はタブレット。飲食業界の店舗スタッフはパソコンに不慣れな人も多いと、渡邉氏は言います。しかし、多くはスマホでの文字入力には慣れています。しかし、お客さまの前でスマホでの文字入力はプライベート感が強すぎるでしょう。だから、タブレットなのです。

つまり、今後の飲食店のIT化はセキュリティカメラ画面も含め、タブレットに集約されていくのかもしれません。IT化の波から取り残された飲食業界ですが、それだけにこのような商品の独自な使い方は「あり」でしょう。

(※一部内容を変更しています。2017年6月8日)

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梅田勝司
この記事を書いた人

1964年生まれ。1997年に10年以上に渡った業界新聞、男性誌の編集を経て独立。以後、 フリーのライター・編集者として活躍。のち、株式会社アールイーを設立。コンテンツ全般、IT系、社会情勢など、興味の赴く対象に節操なく本の作成、ライティングを行う。

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