飲食店で働く人のための情報マガジン by トレタ

レポート
2016年9月7日

【レポート】FOODiT TOKYO 2016「創業350 余年・老舗料亭『赤坂浅田』が挑戦するおもてなしの新潮流」(後編)

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【レポート】FOODiT TOKYO 2016「創業350 余年・老舗料亭『赤坂浅田』が挑戦するおもてなしの新潮流」(前編)では、その歴史やスタッフの育成について伺いました。後編ではITの活用について紹介します。

ITの活用も「おもてなし」のために

浅田では予約システムとして、2015年からトレタを導入しています。しかし、これには多くの壁が立ちふさがりました。そのひとつが現場であったと浅田氏は語ります。

「予約台帳の電子化は6~7年前から考えていました。とあるパソコンのソフトを導入しようと、何回かプレゼンをしていただきました。しかし現場が全く受け付けませんでした。2年ほど経ってからもう一度プレゼンしていただいたのですが、プレゼンの最中で受付の担当者が『こういうシステムを入れるんだったら、仕事を辞めます』といって席を立ってしまうこともありました」。


<登壇者>浅田屋伊兵衛商店株式会社 代表取締役 浅田松太氏

「予約台帳は、店の肝となる一番大事な所です。ですから、スタッフは強いプライドを持ってお仕事しているのです。それを電子化してデータを残していくというやり方がどうしてもできないと言われました。また、パソコンは入力が簡単とは言えず、バックアップ体制などの課題もあり、断念しました」と浅田氏は当時を振り返ります。

しかし、トレタはすんなり導入できたという感触を覚えたそうです。

「iPadを使うので、スマホが使えれば誰でも入力ができます。しかもデータはしっかりと残るシステムができています。トレタは情報がすべてクラウド上にありますので、受付係が電話を受けて記録した内容を、調理場でも共有できる。当日の予約に関してはさらに紙にプリントアウトして、情報共有を行っています」。

トレタの導入により、現場に安心感が生まれたそうです。

「お客様から『前回と同じような内容で」と言われた時、履歴の検索が非常に簡単にできます。その結果、電話でのやりとりがスムーズになり、お客様と安心してコミュニケーションできるように。さらに、予約伝票が資産になっていくことも実感しているといいます』。

浅田氏はトレタと紙台帳との一番の違いはデータの蓄積だと考えています。

「大きく違うと感じるのが、紙の台帳の場合、当日まではそこに予約内容をきっちりと書き込み、その内容を各セクションごとに共有してお席に反映させるなど、すごく大切な情報として扱うんですが、その日が終わってしまってからはなかなか見返しませんでした」。

一方でトレタは、日々予約内容を入力することで、それらがデータとして自然と溜まっていきます。後から検索したり、お客様の来店状況を見ることが非常に簡単にできますので、この入力予約内容がこの先のお店の資産になっていくということです。

「また、3店舗のすべての予約内容をトレタでチェックできます。私が伺って挨拶をするべきお客様のチェックなどがもれなくできるようになったのが非常に大きいと思います」。

「浅田」が考えるおもてなしの未来

浅田氏が考える、そして実践しているおもてなしは、心構えであり、そして時代にあわせて変化していくことでもあります。トレタというテクノロジーの導入もそのひとつ。最後に、これから挑戦したいこと、こういうおもてなしができたらいいと浅田氏が考えることを伺いました。

「ぱっと考えるのは人工知能、AIですね。料理の献立にAIを活用しながらご提案するということも今後出てくるのではないでしょうか。スタッフはITを利用して外国のお客様とスムーズにコミュニケーションがとれるようになったらいいと思っているようです。今後は、ITを活用したおもてなしのやり方を一緒に考えて何か作っていきたいと考えています」。

具体的にこんな活用法を浅田氏は考えています。

「今、芸者の管理は組合事務所の見番にある紙の台帳で行っているんですが、この記録が漏れていたり、うまくされていなかったりして、芸者が稼働する機会を逃してしまうことがあります。そういうのもクラウド上の管理システムを導入することによって、上手くできるのではないかなと考えています」。

最後に浅田氏は「人生の目的は金銭を得るに非ず、品性を完成するにあり』という、キリスト教思想家であり社会学者でもある内田鑑三氏の言葉を大切にしていると語ってくれました。

飲食業は日々お客様と接することで、自分を研いていくことができるのが特徴。浅田氏は、こういう時にどうしたら喜んでいただけるのだろうかと、日々学びながら生きていくことを大切にしているそうです。

(※一部内容を変更しています。2017年6月8日)

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コヤマタカヒロ
この記事を書いた人

1973年、兵庫県生まれ。90年代にファッション誌にてライター業をスタート。現在はデジタル機器やガジェット、家電などのモノ系とそれらを取り巻くサービスを中心に取材・執筆活動を展開。学税時代はずっと厨房でアルバイトしていたこともあり、趣味は料理。

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