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レポート
2016年9月21日

【レポート】FOODiT TOKYO 2016「ワンダーテーブルの教育と採用」(後編)

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【レポート】FOODiT TOKYO 2016「ワンダーテーブルの教育と採用」(前編)では、株式会社ワンダーテーブル 代表取締役社長 秋元巳智雄氏の「TEAM」に対する考え方をお伝えしました。後編では、同社のフィロソフィーについてご紹介します。

ワンダーテーブルのMVV(ミッション、ビジョン、バリューズ)

サービスに繋がる弊社のフィロソフィーの話をします。企業理念やミッションなど、色々ないい方があります。我々は『ミッション』『ビジョン』『バリューズ』の3つに分けています。別に分けなくても良いんですが、海外の、外食だけではなくて、優良と言われるような企業の企業理念を見たときに『MVV』で分かれている企業が非常に多かったんです。そこで我々も約10年前、今の形にするときに『MVV』をまとめて『ワンダーテーブルフィロソフィー(企業哲学)』としています。

ミッションは我々のサービスに繋がっていきます。それは「市場を拓き、嬉しい時間を作る」ということです。これが我々の、ワンダーテーブルの使命です。簡単にいうと、ニッチトップを目指すということです。ニッチ市場でトップブランドになるというテーマと嬉しい時間を作るというのが我々のミッションなんだと言っています。

なぜ「嬉しい」であって「楽しい」ではないのか。ダメだというわけではないんです。例えば「鳥番長に行って楽しかった」って言いますよね。でも「ソルトに行って嬉しかった」とは言いません。「楽しい」という総合的な評価ではなくて、自分が何かをすることによって「嬉しい」と思ってもらえる仕事をしようということです。

つまり「嬉しい」というのは、相手にしてもらって感じる感情なんです。2回目なのに名前を覚えてくれて「嬉しかった」というわけです。総合的に「楽しかった」というのは、ブランド力が大きい。もちろん「楽しかった」って思ってもらいたいんですけど、その中で「嬉しい時間」っていうのを私たちは作っただろうかーーということです。

例えば、シェフが自分のために塩加減を調整してくれて「嬉しかった」。例えば、シェフがわざわざ挨拶に来てくれて「嬉しかった」。これがワンダーテーブルで働く社員の仕事。こういったものが、我々のホスピタリティに繋がっていくんだと言っています。


株式会社ワンダーテーブル 代表取締役社長 秋元巳智雄氏

サービスとホスピタリティの違い

我々のお店のゴールは「嬉しい時間」を作って、リピートしていただくこと。つまり、今日来たお客様に、また来たいって思ってもらうことです。

そのために大事なのは、まず商品とサービス。この商品とサービスは知識と技術なので、仕組みを作ればマニュアル化して教育ができます。商品とサービスをしっかり教育をして、ホスピタリティ・マインドを醸成することで、お客様にリピートしてもらえる「嬉しい時間」が作れると言っています。

じゃあサービスとホスピタリティは何が違うんでしょうか。うちではハッキリと定義付けています。サービスとは、商品とや接客を提供すること。つまり、しなきゃいけないことです。それに対してホスピタリティとは何か。『おもてなし』と言われることがありますが、お客様のためにしてあげること、そして、相手に喜びを感じてもらうことが我々のホスピタリティなんです。

ホスピタリティの原点として、私が大事にしているのは、親から受けた愛情です。子どもが生まれたら、抱っこしますよね。英語でハグです。実際にはできないので、ハグの気持ちを持って接しようしようといっています。そして、その次がTEAMのE、見つめると言うこと。つまり、母親は子供を産んでハグをして、見つめるわけです。それで愛情とか真剣さが伝わるわけです。見つめてハグをする、そして、おっぱいをあげます。それが初めに人が感じる、ホスピタリティの原点なんです。

商品とサービスは知識と技術で学べますがホスピタリティは概念なので、そう考えて思って働かないと、お客様に伝わりません。飲食業では見知らぬ人毎日がきます。でも、自分の大切な人のように思って働くっていうことが、ホスピタリティなんです。

商品とサービスは、知識と技術なので、1対多です。しかし、ホスピタリティっていうのは1対1です。では、1対多は一方向ですが、1対1は双方向です。その違いはなにかっていうと、笑顔で「お客様いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ、こんにちは」とお迎えするのはサービスです。これは知識と技術で教えることができる。100人お客さまが来たら100人にできます。

一方、ホスピタリティは1対1です。その人のためだけに考えてする行動です。例えば、Bさんという常連さんがいます。年に50回は来る常連さんだけど、それに気づいていない。でもその店は、サービスのレベルが高い店だから、常に「いらっしゃいませ」「ご注文は何になさりますか」「かしこまりました」とお迎えします。ただ、Bさんだけのための行動を一度も取っていない。これではただサービスのいい店で、ホスピタリティがある店ではありません。

ではその時にホスピタリティを発揮するためにはどうしたらいいか。「いつもすみません。大変失礼ですけれども毎日のように来ていただいて、お名前お伺いしていいですか」って聞くんです。名前を聞いたら、メモを取るわけです。次に来たときは「あっ、Bさん、こんにちは、今日は雨の中すみません」って言うんです。

GEM(ゲスト・エクスペリエンス・マネージメント)

最後に『GEM』の話をしたいと思います。英語で磨き上げた宝石という意味です。これは僕のニューヨークのボスに、全米のレストラン業界でホスピタリティの神様と呼ばれているダニー・マイヤーさんという人がいます。

彼が使っているのがGEMという仕組み。これは何かって言うと、『GUEST EXPERIENCE MANAGEMENT』の略で、お客様に体験をもたらすマネージメント、ということ。つまりトレタなどのIT技術を使って、お客様をマネージメントしていくということです。

具体的にはお客さまの情報を収集してセグメンテーションして、アクションを決めます。ただし、それはさっきのメモだけだとしんどいので、トレタのようなIT技術を上手く使います。例えば、まず初めて来たお客様、それから、2回3回、4回、9回、10回で分けています。10回以上来るお客様のことをロイヤルゲストと呼んでいます。

初回の来店の場合、まずはお名前を伺ったりして、お客さんの情報を理解する。また、次リターンしてもらうためにも、お礼状送ったりしています。

2回から3回っていうのは、実は囲い込みをしなきゃいけないときです。トレタを使っているとお客様の来店履歴がでるようになっています。だから、その人が何回来たがが分かるのです。

2回目のお客さまは大事です。6時半予約のお客さまがCさんしかいないなら「Cさん、こんばんは」って言う。そうしてリピーターを増やして、常連客にしていきます。常連客になったら、今度はシーティングや担当サーバーなども非常に気遣っていきます。また、支配人がちゃんと挨拶をしていなかったり、4回目、9回目に顔と名前が一致しないようだったら必ず支配人に挨拶にいかせています。

そうなったたとき、逆に自分は担当せず、別サーバーに担当させます。そうして、いろんなサーバーを担当させて、みんながお名前を呼び、挨拶に行けるようにまでなると、仮にエースが辞めたとしても「あの店にいくと、みんな僕に気を遣ってくれて、居心地いいよね」という状態が作れます。

お店が持つ情報と『GEM』の間に『ホスピタリティ』があります。情報を活用して『おもてなし』することによって我々のゴールである「リピートしてもらうこと、『嬉しい時間』を作ること」ができるようになると考えています。この情報活用は手書きでは無理です。ぜひとも皆様も、ITを活用しながら、お客様のマネージメントをしていってください。それが2020年に向けて大事なことなんじゃないかと思っています。

(※一部内容を変更しています。2017年6月8日)

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コヤマタカヒロ
この記事を書いた人

1973年、兵庫県生まれ。90年代にファッション誌にてライター業をスタート。現在はデジタル機器やガジェット、家電などのモノ系とそれらを取り巻くサービスを中心に取材・執筆活動を展開。学税時代はずっと厨房でアルバイトしていたこともあり、趣味は料理。

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