日本を支えるのは俺たちだ。巨大産業「外食」の今を知って未来を創る

景気や流行に極めて敏感に反応し常に形を変え続けている外食産業。今回は業界の基本的な構造と特徴をおさらいし、今後の展望を知るうえで役立つキーワードを紹介します。

業界の基本的な構造

まず、外食産業の基本的な構造をおさらいします。外食の最大の特徴はその多様性にあります。また、大手企業の占有率が低いことも挙げられます。2014年の市場シェアを見ても、牛丼チェーン「すき家」などを展開するゼンショーホールディングスが11%とトップ、続く日本マクドナルドこそ6%ですが、吉野家ホールディングスやワタミなどを含めた3位以下は5%も占めていません。業態が極めて細分化していることもあり、寡占が難しいということですが、中小を含めた非常に多くの事業者が変化に富んだサービスを展開している様は、人々の生活を支える基幹産業らしいあり方といっていいでしょう。

経営者としては、業態の細分化はひとつの着目点です。同じ外食であっても、カフェ、居酒屋、バー、高級レストランなど、それぞれがターゲットとしている客層、提供するメニュー、営業時間や立地などは大きく異なっています。そうした多様な業態が個々に住み分けをしていることも外食産業全体として大きなシェアを持つことが難しい理由です。新規参入や店舗の拡大を狙う場合は、これらの業態にあわせたお店づくりに十分注意する必要があります。

最近の市場推移と各企業の動向

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次に市場を見てみましょう。一般社団法人日本フードサービス協会が公表している統計によれば、一般的なカフェやバー、レストランなどの飲食店の2014年の市場規模は18兆919億円です。これは前年比で+1.6%となっており、2013年の+4%に比べれば劣るものの、堅調に推移したといえます。ただし、外食は景気の影響を非常に受けやすい市場であり、こうした成長路線はあくまでアベノミクス効果などからの短期的なものです。注意しなくてはならないのは、ここ20年ほどの長期的スパンで見れば、市場は1997年をピークに縮小を続けているということです。日本の人口そのものが減っているため、今後もこうした状況は変わらないものと予想されていますが、一方で業界の規模(参入事業者)は増加の傾向にあります。これが前述のとおり、競争の激化につながっていることは間違いありません。こういった状況のなか、最近では日本マクドナルドの最大店舗の閉店が話題になりましたが、各企業は新店の積極的な展開とあわせて不採算店舗の閉店や業態転換などの効率化をこれまで以上に進めています。

今後を考えるうえで役立つキーワード

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さて、そうした状況のなかで生き残っていくためにも、先にも述べたように世の中の動向に敏感に反応していくことは欠かせません。今後の展望を予想するのに役立つキーワードを以下にご紹介します。

「TPP」の影響

TPPとは環太平洋戦略的経済連携協定の略で、2015年には大筋合意に達したアメリカやシンガポール、オーストラリアなどとの経済の自由化を促進する協定です。多岐にわたる品目には多くの食品も含まれており、特に牛肉や米などへの影響が大きいことが予想されています。外食産業で多くの場合調達コストの低減につながり、お客さま向けにもより低価格で提供できるなどの影響があります。

 「TPP」が飲食店経営に及ぼす影響について、詳細はこちらの記事もご参照ください。 → 「いまさら人には聞けない!?「TPP」が飲食店経営に及ぼす影響について説明しましょう!

「中食」需要の増加

TPPと並んで外食産業への大きな影響が懸念されているのが、消費税増税です。2017年4月より外食は消費税が10%となるため影響が懸念されています。この一方で注目されているのが、外食と自炊の中間、「中食」需要の増加です。これは、お店で料理を注文して食べると10%の消費税がかかるのに対し、テイクアウトすれば8%となることが一因です。これを軽減税率といい、外食と酒類以外の生鮮食料品や持ち帰り・宅配などに適用される見通しです。

また、この「中食」の増加は高齢化する日本社会の現状にもマッチしています。外出が困難だったり、自炊しようと思っても量が少ないため宅配サービスを利用した方が安上がりになるようなお年寄りが今後も増えていくことがその背景にあります。

2017年4月からの軽減税率導入が飲食店経営に及ぼす影響について、詳細はこちらの記事もご参照ください。 → 「消費税増税も怖くない!飲食店経営者が取り組むべき軽減税率対策とは

「第六次産業」の拡大

「第六次産業」と呼ばれる新しい産業の形が注目されています。これは、「第一次産業」のにない手である農作物の生産者が自ら加工(第二次産業)と流通(第三次産業)も手がけることです。例えば、トマトを作っていた農家がそのまま自社で加工を行い、トマトを使ったメニューを看板にしたカフェを開業する、といったスタイルです。事業者としては、カフェに作物の直売所を併設して相乗効果で売上を高めることができる、従来は形が悪くて買い取ってもらえなかった作物の有効活用ができる、などのメリットがあります。

農家がこうした形で事業を展開した場合、作物の生産からお客さまへの提供までを一貫して自社で行うので最初の事業コンセプトを達成しやすいのですが、反面加工技術や店舗経営のノウハウがないことが大きな課題となります。このため、レストラン経営者など外食の専門家にアドバイスをあおぐ場合が多いようです。現在お店を構えている飲食店経営者にとっては、単なる競合としてだけではなく提携やコンサルタントとして事業に携わるチャンスがあるという側面もあります。

飲食店さまを取り巻く環境は刻一刻と変化しています。また、TPPと増税という大きな影響が立て続けにやってくるというのも、近年なかったことです。アンテナを高くして世の中の流れに注目することが、お客さまをひきつけ続けるお店のヒントになるかもしれませんね。


参考:

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