飲食店が知っておきたい「グルメサイトの歴史」〜トレタブログより

※この記事は2015年11月2日公開トレタブログ『飲食店が知っておきたい「グルメサイトの歴史」』から転載いたしました。(一部改変あり)
トレタセールスの足立です。私は1999年から2014年まで15年ほど、某グルメサイトの会社で「中の人」として、営業やサイト運営に関わっていました。
1996年にグルメサイトが誕生して以降、さまざまなグルメサイトが現れては、去って行きました。それはグルメサイトの歴史であるとともに外食産業の歴史の一部と言えます。ただ残念なことに、その歴史をまとめた資料が今までありませんでした。何ごとも歴史に学ぶことは未来の道標にもなります。
そこで今回、グルメサイトの歴史を知る証人の端くれとして、あくまで私見ですが、僭越ながらグルメサイトの歴史をまとめさせていただきました。改めて大きな流れをみることで、今後のグルメサイトの行方を考えてみたいと思います。

グルメサイトのトレンドは5年周期で変わる

振り返ってみると、グルメサイトの歴史は、だいたい5年周期でトレンドが変わっていることがわかりました。
1)グルメサイト黎明期(1996~)
2)グルメサイト戦国時代(2000~)
3)次世代グルメサイトの登場(2005~)
4)新旧世代交代(2010~)
5)? (2015~)
ひとつひとつご紹介していきます。
7aeb7bda.jpg

1)グルメサイト黎明期(1996~)

グルメサイトの歴史は、1996年に鉄道系広告会社の株式会社NKBが一事業としてはじめた「ぐるなび」から始まります(現在は株式会社ぐるなびに分社化)。当時はインターネット自体の普及がはじまったばかりで、ネット接続は電話回線を使い、接続時間によって従量課金されていた時代でした。私も某社に入社した当初はフロアにネット接続できるパソコンが数台しかなく、お店さまからの電話で「うちの店のページ見られる?」と聞かれたらすぐ対応できるよう、あらかじめ紙にすべて印刷しておいて、電話口で「ページ立ち上げますね」といってから、実際は紙を探していたりしていました。
当然、当時は自店のホームページを持っている飲食店はかなり珍しく、「ぐるなび」は"自店のホームページ代わり"として普及していきました。それゆえ、ぐるなびは現在もお店のメッセージ、PRをダイレクトに表現する場になっています。ちなみに当時の掲載料は月額3,000円でした。
また、同時期にクチコミ型グルメサイトの元祖と言われる「askU東京レストランガイド」がスタートしています。こちらはレビュアーと呼ばれるユーザーがお店のクチコミを書いて作られていくグルメサイトでした。ただ、サクラや荒らし、競合店の嫌がらせの書き込みなどで荒れやすいことから広告収入が得にくかったため、多くのユーザーを抱える人気サイトでありながら、ずっと収益化に苦戦することになるのです。さらにポータルサイトの王者Yahoo!上でも、電話帳に近い形式の「Yahoo!グルメ」というグルメサイトができたのもこの時代でした。
そして1999年の「@グルメぴあ」の参入を皮切りに、出版社・地図会社・ポータルサイトなど、あらゆるグルメコンテンツをもつ会社が参入する戦国時代に突入していくのでした。
▼この頃登場した主なグルメサイト
ぐるなび(1996~)
askU.com 東京レストランガイド(1996~2012)※終了 
@グルメぴあ(1999~2014)※現「美味案内」 
Yahoo!グルメ(不明〜2011)※現「Yahooロコ」

2)グルメサイト戦国時代(2000~)

「ぐるなび」の成功を受けて、「ぐるなび」をモデルにエリアやジャンル、目的などで検索できるサイトを構築し、掲載料金をお店からもらうスタイルのグルメサイト(以下、便宜上"ガイド型"と呼びます)が続々と登場しました。この時代に参入したのは当時人気の情報誌「東京ウォーカー」が展開していた「グルメWalker」、また有線放送による飲食店販路を活かして参入した USENの「ぐるめピタ」、人気フリーペーパーから派生したリクルートの「hotpepper pockets(※1)などでした。お店も複数のグルメサイトにどんどん情報を掲載をすることが普通の時代でした。
この時代の特徴は大きく3つあります。
①メディアミックス 
情報誌やケータイサイト(iモードetc)など複数のメディアで掲載する  
②ポータルサイトへの配信数勝負 
Yahoo!、nifty、Excite、Lycos、BIGLOBEといったポータルサイト運営のグルメサイトへより多く情報配信することで露出を競い合った
③お店管理画面の普及 
情報更新をグルメサイト会社が行うのではなく、お店側が管理画面を通じて情報更新するスタイル
複数のグルメサイトに掲載を行うようになったことでお店が悩んだのは、メニューなどの情報更新。印刷物とは異なり、ネット上の情報は最新のものでないとユーザーのクレーム対象になりかねません。そこで「ぐるなび」はいち早く、「加盟店管理画面(2001〜)」(※2)を開発し、飲食店に掲載情報管理の仕組みを開放します。これにより「ぐるなび」は”つねに最新情報が載っている”、”情報量が多い”といった優位性を獲得します。さらに「ぐるなび」は、通常の掲載より露出を高めるオプションを加えた特集掲載を年間パックで提供する販促パックの販売強化を図り、「販促正会員制度(2003〜)」(※3)を開始することで圧倒的な地位を確立していきます。
▼この頃登場した主なグルメサイト
グルメWalker(2000~2013)※終了
ぐるめピタ(2000~2006)※現「ヒトサラ」
幹事さんいらっしゃい(2000~2006)※グルメコンシエルジュに変更後、終了
東京グルメ(2000~2012) ※livedoorグルメ、ロケタッチグルメに変更後、終了
hotpepper pockets(2003~)※現「ホットペッパーグルメ」(2010~)
楽天ダイニング(2003~)
各ポータルサイトのグルメサイト
※1 フリーペーパーのホットペッパーは、前進の「サンロクマル」をリニューアルし、2001年に創刊された。デジタル版は「hotpepeppe pockets」の後、「Hotpepper.jp」 「FooMoo」と何度かブランドチェンジしている。
※2 ぐるなび管理画面は月額プラス1,500円で利用できた。お店に情報管理を開放することで、飾り文字や背景画像など、運営元の想像を超えるページの作り込みをして成果をあげるお店が続々と現れた。
※3 特集掲載料を含んだ月額5万円以上を正会員とし、5万円未満のお店をビギナー会員とする制度。ビギナーはPV制限などがある。正会員制への移行が「ぐるなび」の収益を一気に向上させ、黒字化、上場に貢献した。現在も「ぐるなび」の収益のメインのひとつ。

3)次世代グルメサイトの登場(2005~)

戦国時代を経て、「加盟店管理画面」「販促正会員制度」によって圧倒的な存在になった「ぐるなび」と、2005年から本格的にウェブシフトして力をつけた「Hotpper.jp」との二強時代になっていくなか、このふたつのサイトのタイプとは逆張りすることで人気を得る次世代グルメサイトが現れました。
そのひとつが、現在最も多くのユーザーを抱えるグルメサイト 「食べログ」です。「askU」「東京グルメ」など先行したクチコミサイトが成し得なかった収益化にはじめて成功したグルメサイトが「食べログ」でした。大きなポイントは、親サイトである価格.comで培ったノウハウを活用してガイドラインに沿った巧みなクチコミ統制を行い、誹謗中傷やヤラセを抑えつつ、ユーザーの自由度を担保したことです。主流であったガイド型と差別化しながらも、かつ健全性も保たれているクチコミサイトとして、ユーザーから絶大な支持を得ていくのです。
また、クチコミ型はユーザーが勝手にどんどん掲載してしまう方式なので、ガイド型のように店舗からは掲載料がとれません。そのあたりも「食べログ」は絶妙な課金方法 (※4)でクリアします。結果、圧倒的なトラフィックを元に、ユーザーとお店の双方から有料会員を獲得することなどによって、収益を伸ばしていくのです。
その一方、全国50万店ともいわれる飲食店(パブ、スナックなどは除く)を全網羅するのではなく、あえてターゲットを絞ったお店のみを限定的に掲載し、掲載料ではなく"予約による送客手数料"をもらうスタイル(予約特化型)のグルメサイトが現れました。それが若い女性をターゲットとする 「オズモール レストラン予約」と、ビジネスマンをターゲットにし、ホテルサイトから派生した「一休レストラン」です。海外からの黒船として、その分野のパイオニアともいうべき「OpenTable」が上陸したのもこの時代です。またこの頃には、各社が「ぐるなびポイント」「ポイコ」をはじめとするポイントサービスなど周辺サービスをはじめました。
そうしたなかで、掲載料金の高騰や、情報管理の労力がかかるなどの理由から、飲食店側もさまざまなメディアに掲載するのではなく、より集客効果のあるグルメサイトに掲載を集中する流れができていくことになります。
▼この頃登場した主なグルメサイト
食べログ(2005~)
OpenTable(2005~)
オズモール レストラン予約(2005~) 
Hotpepper.jp(2005~2009)※FooMooに変更 
一休レストラン(2006~) 
グルメGyao(2006~2012)※現ヒトサラ 
サンゼロミニッツ(2008~)
FooMoo(2009~2010)※Hotpepperグルメに変更
※4 掲載自体にはお金はかからないが、「掲載情報のリッチ化」「サイト内の露出度アップ」「お店が選んだクチコミの上位表示」など無料掲載店と差別化できる機能によって課金した。当初は月額5,000円だったが、幾度かの機能追加・プラン変更などを経て、現在は月額1〜10万円の幅広いプランがある(2015年11月現在)

4)新旧世代交代(2010~)

相次ぐ老舗グルメサイトの終了、ブランドチェンジ
複数サイト掲載から集中掲載の流れになったことで、特長の少ない網羅型のサイトが変化を余儀なくされ、10年を超える老舗サイトが次々に終了したり、ブランドチェンジすることになったのがこの時代です。元祖クチコミサイトの「askU」や「ロケタッチグルメ(旧・東京グルメ)」「グルメWalker」が終了し、「Yahoo!グルメ」「グルメGyao(旧・ぐるめピタ)」 「グルメぴあ」 は 、それぞれ「Yahoo!ロコ」「ヒトサラ」「美味案内」として新機軸を打ち出したサイトに生まれ変わりました。
また、2010年のフラッシュマーケブーム(※5)や2011年の東日本震災の影響もあり、それまでの新規客獲得偏重主義から、もっと常連顧客を大切にしなくてはいけないという意識の高まりが起こり、今日のキュレーション型サービスや台帳サービスへと繋がっていきます。また、ユーザーが投稿する食べログ掲載情報の真偽の確認や、足りない情報の補充を目的に、お店のオフィシャルページを確認するユーザーが増えてきたことを受けて、公式情報を扱うオウンドメディアページの重要性が高まりました。さらにTwitterやFacebookなどSNSの急速な普及により、SNSを通じての来店が増えたのはこの頃からです。
「スマホ」「キュレーション」「予約」をキーワードに第3世代のサービスが登場
スマホの普及により「ミイル」「TERIYAKI」など、スマホアプリからスタートするグルメサイトも現れました。また「Retty」「TERIYAKI」には、増えすぎた飲食店情報をナビゲートするために、"検索"ではなく知っている人や食通の人を通じてキュレーションしようという特長があります。
そして、もうひとつのキーワードが「予約」。いままでは、ホテルのオンライン予約などと異なり、予約フォーム送信して店舗から折り返し確認電話がきてはじめて成立するという「リクエスト型予約」が飲食店予約の主流でした。しかし、ここに来て急速に「即予約型(オンラインですべて完結させる予約)」が増えています。この流れに「ぐるなび」「ホットペッパー」などの老舗が次々に対応したのをはじめ、「食べログ」は予約の機能を「cena(チェーナ)」として専用サイト化(2014年に食べログに統合)し、Yahoo!も即予約に特化した「Yahoo!予約 飲食店」を新たにリリースしています
▼この頃登場した主なグルメサイト
Retty(2010~)
ぐるリザ(2010〜)
Hotpepperグルメ(2010~)※旧FooMoo 
Yahoo!ロコ(2011~)
ミイル(2011~) 
ヒトサラ(2012 ~ )※旧グルメGyao
ロケタッチグルメ(~2012)※旧livedoorグルメ 
ポケットコンシェルジュ(2013〜)
TERIYAKI(2013~) 
Yahoo!予約 飲食店 ( 2013~) 
グルメWalker(~2013) ※終了 
cena(2013~2014) ※食べログに統合 
yelp日本版(2014~) 
美味案内(2014~)※旧グルメぴあ
※5 フラッシュマーケティングと呼ばれる共同購入型のクーポン販売サイト。「Piku」「GROUPON」「ポンパレ」などピーク時には10以上のサイトが乱立した。

5)これからのグルメサイトはどうなる?予想

このような歴史の流れを辿っていくと、今後の流れが何となく見えてきます。最近では、お店を選ぶときにInstagram(インスタグラム)を活用する人が増えてきたという記事(リンク)が話題になるなど、すでに新たな動きが出てきています。
しかし、長く飲食店に携わる弊社顧問の子安大輔氏の言葉を借りれば『大切なのは流行のような"さざ波"ではなく、もっと大きな視点で"潮の流れ"をみること』です。そこで最後に、そのあたりを踏まえつつ、僭越ながらグルメサイトの今後を予想してみたいと思います。 
*即予約型ネット予約競争の激化 
*オウンドメディア、SNS活用の重要性のさらなる高まり
*管理労力軽減による複数メディア掲載戦略の復活
*ユーザーと店舗のマッチングの向上
*サービス連携増加やデバイスの進化によるサービスのシームレス化
なかでも注目は「即予約型ネット予約競争の激化」です。最近ではLINEも「LINEグルメ予約」として参入を果たしています。なぜグルメサイト各社は即予約を推進するのでしょうか。それはグルメサイトの「集客効果基準の変化」によるものです。集客効果基準はお店から収益を得るには大切な指標です。当初、グルメサイトの効果指標といえば「ページビュー(PV)数」や「クーポン回収枚数」が主でした。ただ、PVがあっても来店がなければあまり意味がないという考えが広まり、一方のクーポン枚数を効果指標とする場合も、特典目当てのお客さましか測定できないことや、お店側でアナログ集計するしかないというその正確性が大きな課題としてクローズアップされました。そこで、近年は「050ではじまる転送電話コール数の測定 (※6)」とともに、大きく数値を伸ばせる可能性があり、さらにグルメサイト側できちんと効果数値を把握できる「ネット予約」に改めて注力することになったのです。     
※6 お店ページに専用番号を掲載し、お店の電話番号へ転送するサービス。コール数の把握や、接続時に「◯◯(メディア名)からの入電です」という音声ガイダンスを流すことで、お店に効果を実感していただける効果もあり、各社こぞって導入した。ちなみにこの機能の普及までは電話番号の横に「◯◯(メディア名)を見たというと予約がスムーズです」などと表記してユーザー自身に言ってもらえるように促していた。
こうしてホテルや医療、理美容業界に遅れながらも、ようやく飲食店にも「即予約型のネット予約」が普及してきました。が、実情はいまだ多くの飲食店が「即予約」のために裏側では空席管理を"人力"で行っている状態です。また、より気軽に予約できることによって、気軽に"無断キャンセル"を行うユーザーも増え、抜本的な対策が必要になってきています。持論ではありますが、これらの課題に対する根本的な解決には「各グルメサイトと台帳サービスとの連携」が進む以外にないと考えています。
「なんだ結局は自社サービスの宣伝ですか」と言われそうですが(セールス担当ですのでご了承ください)、グルメサイトの歴史のなかにいた人間だからこそ、グルメサイト側から空席管理ツールを提供するかたちでは「競合関係にあるサイトととの公式連携が難しい」「飲食店の販促メディアの選択の自由が損なわれる」など、飲食店の現場に労力負担をかける空席管理になってしまうことに、どうしても限界があると感じます。それこそが、私がグルメサイト側から台帳サービスの「トレタ」に転職した理由のひとつなのです。
各グルメサイトとオープンなかたちで台帳連携することで、「飲食店」はメディア選択の自由が担保され、空席管理労力や望まない予約から解放されます。また「ユーザー」は予約のとれなかった人気店に24時間365日予約ができる利便性を得て、その利便性ゆえに「グルメサイト」は利用者が増え、集客効果も数値化できるという、皆それぞれがハッピーになる飲食店の「ネット予約」のかたちを実現していきたいと思っています。そのために微力ながら自分の経験が少しでも活かせればと願っているのです。すでにトレタは「 Yahoo!予約 飲食店」「ヒトサラ」「オズモール レストラン予約」と公式連携しており、上記に挙げたメリットを飲食店・ユーザー・グルメサイトのそれぞれが享受しはじめています。ぜひ他にもトレタと即予約連携したいというグルメサイトさんがいらっしゃいましたら、大歓迎ですのでお問い合わせくださいませ
さて、未来予想の他のキーワードについても詳しく書きたかったのですが、スペース足りなくなってしまったので、またの機会にさせていただければと思います。長文駄文読んでいただきありがとうございました。

関連記事