飲食店で働く人のための情報マガジン by トレタ

編集部セレクト
2016年6月7日

Makuakeに聞きました。飲食店のクラウドファンディング「成功のコツ」と「失敗の理由」とは(後編)

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Makuakeに聞きました。飲食店のクラウドファンディング「成功のコツ」と「失敗の理由」とは(前編)では、ローストホースの成功事例に沿って、情報の拡散がポイントであることを紹介しました。引き続き、Makuakeを運営するサイバーエージェント・クラウドファンディングの取締役・坊垣佳奈さんにお話を伺いました。


ローストホース
目的 調理機材の費用の出資を募る
目標金額 3,240,000円
調達金額 6,002,111円

情報拡散の方法とは

では。どのような情報拡散が有効なのでしょうか。

「既存のお客さまなどに、さまざまな手段で伝えてもらっています。リアルなお声がけももちろん、会員組織があるならメール配信や、従業員が個人のFacebookなどで発信するのもいいですね。一概にこのやりかたでというのはなく、相談しながら、できることをやってもらっています」。

ウェブページで重要なのは画像や動画といったビジュアル。文章だけでは経営者のフィロソフィーも店の魅力も伝えきれずに、情報が広がりにくくなることも。

「開業前でビジュアルの用意ができないというケースがあります。でもメニューや内装など、現実に近いビジュアルを提供できるかが重要です」。

プロジェクト公開前の設計が大切

Makuakeに限らず、クラウドファンディングのウェブページは適宜アップデートできます。段階的な情報解禁が有効な方法になるのでしょうか。

「クラウドファンディング全般の傾向では、プロジェクトオープン時にいち早く支援する方と、検討時期を経て最後に駆け込みで支援する方の両方がいるんですね。そこで大切なのが、プロジェクト公開前にどれくらいの会員数・支援者数が集まればいいのかの計算を行った上で、リターンのメニューを作り込むことです」。

しかしローストホースのプロジェクトでは想定以上に支援が集まり、「これ以上集まると、席が足らずに来店できない方が出てきてしまうと、急遽プロジェクトを終了しました」。

支援者の満足度が下がるのは一番避けたい。だからこそ目標金額や、支援時のリターンのメニュー、人数制限が重要です。

リターンの価格帯の設定と満足度の関係性

Makuakeの飲食店舗関連プロジェクトの成功例では、目標金額も支援額の価格もリターンの内容もまちまちです。どう設定にすれば多くの支援者が集まるのでしょうか。

「プロジェクトの目標金額によって、見せ方の設計は変えています。たとえば高価格帯のコースは完全会員組織化したり、このコースがここでしか食べられないという特別感のある設計をすることが多いですね。そして低価格帯のものはお得感を重視しています」。

プロジェクト実行者との感覚のズレはあるのでしょうか。

「飲食店経営のノウハウをお持ちであっても、クラウドファンディングでどういう値付けにするか、見せ方にするかは違う話。私たちがそれをアドバイスします。プロモーション重視か、マーケティング重視か、資金調達が重視か。そこがきちんと定まると、クラウドファンディングを使うメリットがでてきますし、私たちも的確なアドバイスもできるようになります」。

しかし、実施自体にこだわりすぎると、クラウドファンディングをやることの意味がなくなることもあるそうです。時にはプロジェクト実行者とぶつかることもあるのだとか。

「もし成功がないと店が上手くいかないと思ってらっしゃるのであれば、そこはがんばりましょう、というお話をすることもあります。『こうしたい』という気持ちを優先しつつ、とはいって私たちが把握しているうまくいかないと思える部分は徹底的に話し合います」。

クラウドファンディングを使ったからといって成功するわけではない

ところで、失敗しやすい取り組み方というのはあるのでしょうか。

「クラウドファンディングなら自然とお金が集まって万事がうまくいくと思っている人たちはいます。そんな意識だと厳しいですね。本気で成功させるためにはどうやればいいのかを考えず、何かをアドバイスしても手をつけずにオープン日を迎えて後悔することも。これから来てくれるお客さんを見ていないといけませんよね。何しろプロジェクトはたくさんありますから、ライバルも多く存在します。うまくアピールすることがポイントです」。

支援者は、最初のお客さんとなる可能性がとても高い。店も、口コミもない段階でお金を出すということは、さらなる可能性を秘めた顧客になる。だからこそ大事にすべき存在だそうです。

「支援者は、リターンを得るだけでなく、店や関係者を応援したいという気持ちがあるように感じます。実行者は、そんな支援者の気持ちも、店の経営に生かしていけるようにコミュニケーションをとっていくことが大事ですね」。

クラウドファンディングはゴールではなくスタート

取材を終えて、クラウドファンディングのウェブページに情報を掲載することがゴールではなく、スタートなのだと感じました。そして自分たち手でSNSを活用して情報を拡散していくことも重要だということ。すなわち、クラウドファンディングは口コミの力を最大限に活用できる存在でもあるのです。

現在もMakuakeには数多くの飲食店プロジェクト情報が掲載されています。中にはKURAND SAKE MARKET(前出) のように、日本酒飲み放題という業態を定着させたプロジェクトもあります。


KURAND SAKE MARKET 池袋
目的 仕入れ、経費、店舗プロモーション費の出資を募る
目標金額 648,000円
調達金額 3,163,644円

こうした事例は、新店の設計で何を特長いとするのか。そのヒントもありそうですね。


クラウドファンディング - Makuake(マクアケ)

(※一部内容を変更しています。2017年6月8日)

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武者良太
この記事を書いた人

1971年、埼玉県生まれ。80年代後半からライター活動をはじめ、90年代に出版社に入社。編集、撮影、デザインのスキルを身につけ、再度フリーランスに戻る。ギズモードジャパン、モノマガジン、デジモノ、Wired等のメディアに寄稿。元Kotaku Japan編集長。

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