飲食店で働く人のための情報マガジン by トレタ

レポート
2016年9月16日

【レポート】FOODiT TOKYO 2016「古い体質を打ち破れ!次世代リーダーたちの提言」(前編)

この記事をシェアする

2016年8月22日、外食業界のリーダーたちが一堂に集結したカンファレンス「FOODiT TOKYO 2016」(主催:株式会社トレタ)が、東京・丸の内のJPタワーホール&カンファレンスにて開催されました。昨年に続き、2回目の開催となる今回は「未来の外食創造へ。さらに深く、一歩先に。」と題し、飲食業界が抱えるさまざまなテーマを軸に、これからの業界のあるべき姿についての講演やパネルディスカッションが繰り広げられました。

ゼットンの稲本健一氏をモデレーターに、いま注目の飲食店経営者を集めたパネルディスカッションが開かれました。これからの飲食業界を牽引する次世代リーダーが、いま考えていることとは何かをレポートします。


<登壇者>
株式会社串カツ田中 代表取締役社長 貫 啓二氏
株式会社サイタブリア 女将 石田弘子氏
株式会社subLime 代表取締役社長 花光雅丸氏
株式会社ゼットン 代表取締役会長 稲本健一氏(モデレーター)

これまで成功してこられた理由

稲本 いろんながんばり方がありますけど、若手の中でがんばっている方として選んだのがこちらのみなさんです。


株式会社ゼットン 代表取締役会長 稲本健一氏(モデレーター)

稲本 マザーズの上場承認も下りたチェーンレストラン「串かつ田中」の貫社長、ミシュラン星付きの「L’Effervescence(レフェルヴェソンス)」、という世界に打って出る日本を代表するレストランを作っている石田女将、若くして160億円近くの売上をM&A戦略で作り上げた「subLime」花光社長というタイプが違う3人をお呼びし、成功の秘訣を聞きたいと思います。

まず、貫さんはなぜ上場できると考えていますか?

貫 私は経営が下手だと思っています。これまでの失敗を全部集めたのが「串カツ田中」。一業態で結構な店舗数のチェーン店を作るのは、まぐれみたいな気がしています。まぐれを引いたので一生懸命育てようと愛情込めてやっています。


株式会社串カツ田中 代表取締役社長 貫 啓二氏

稲本 石田さんの店はなぜミシュランの星を取れているのでしょうか?

石田 ミシュランの星を1つから2つに上げましたが、弊社のレベルはまだ日本人のレベル。ミシュランというのはフランス人が強く、日本人が弱い。シェフが修行したお店も影響しています。星を獲得するためにフランスに関連する行事にも会社としてボランティアで協力し、フランスの人たちに自社を印象づけました。ただ、癒着は絶対にしません。ミシュランの星はあるに越したことはない。スタッフの親御さんが「ミシュランを取っているんですね」と言ってくださる。ですので、引き続き3つを目指していきたいと思います。


株式会社サイタブリア 女将 石田弘子氏

稲本 なぜ拡大できているのでしょうか?

花光 拡大できた理由は、やはり財務セクションがあることですね。もともと飲食店ってお金を引っ張る能力に長けていない人が多いので、僕らはそこに対して資金を集めました。単純明快ですけれども、それが一番の成功かもしれないです。

他の経営者と自分は何が違う点

稲本 他の経営者と違うところを聞かせてください。

貫 ビビリです。今のままじゃどうなるんだろうと常に思っています。一方で、これだけは負けないというのは、副社長の田中と私は、世界で一番「串カツ田中」が好きだということですね。

稲本 「串カツ田中」は田中副社長の名前を取っているんです。田中副社長は女性なのですが、「串カツ田中」がどれだけ好きかを夜中に熱く話し合って泣くほど愛しているんですね。確かに貫くんの経営はビビリだからこそ前へ進んだと感じがしますね。

石田 私は女性であることが他の経営者との違いですね。飲食で活躍している諸先輩方は男性が多い。女性目線だと、会社の雰囲気やお店づくりも全然違うとは思います。

花光 この世に1社たりとも同じ会社がないのは、創業者が全部違うからだと思っています。なので、全部違うものだと認識した上で事業を行うのが一番いいのかなと思っています。


株式会社subLime 代表取締役社長 花光雅丸氏

稲本 人生の目標を聞かせてもらえますか。

石田 たまたま結婚できて子育ても終わり、さらに仕事に集中できる環境にあります。今後は飲食で働く女性の活躍の場をもっと作っていけたらと思っています。女性スタッフが子育てをしたいと言った時にみなさんの会社ってどうされていますか、託児所をどうするか考えていますかと訴えていきたい。残りの人生を掛けます。

花光 自分自身が自己満足できる人生が一番いいと思っているんです。よく人間の欲求の最大値は自己実現とか言うじゃないですか。でも自己実現って結局、自己満足だと。僕にとっての自己満足の最大値は、他者の満足度の最大値化と最多化ですね。人の幸せが自分の幸せになると。

23歳で屋台をオープンした日に来たカップルのお客様がきっかけです。お客様が僕にビールを奢ってくれたので、お礼を言ったら「記念すべき日に第1号の客として来られて、ビールを奢れる俺が幸せだ」と言われました。その時にすごく衝撃を受けたんです。

人の幸せって自分の一番の幸せになるんだなと。それこそが僕にとっての自己満足なんじゃないかなと。だから、僕の人生の目標は「良かったな」って思える人生を生きよう、最大の自己満足をして終えるのが僕の人生の目標です。

稲本 いい話だね。今の作りじゃないよね?

花光 半分作りですけれども(笑)。

稲本 上場が到達点ではないだろうけれども、そこに見える風景の向こう側の話をしてくれますか。

貫 ボヤッとした話かもしれませんが、仕事で褒められるシーンがたまにあるわけです。その時に新しい夢が生まれ、夢に到達するための目標の階段を置く。ところが夢に近づくと夢はどんどん逃げていく。はっきりとした目標はないのですが、仕事が一番の趣味なので、死んだときに「ああ、上手くいったなぁ」と感じられれば十分です。

稲本 とても上場間近の社長の言葉じゃなかったような(笑)。東京に出した和食店で苦労したと聞きましたが、そこから上場に至るまでと、なぜ上場が必要だったか、そしてその先はどう考えているのでしょう。

貫 窮屈そうだと思っていたので、上場を目指す気はなかったんです。しかし、50店舗くらいに増えてきて「串カツ田中」は相当行けるなと。弊社の理念が「一人でも多くの笑顔を生むことに社会貢献する」を広げ続けて、店をいっぱい出して、スタッフにも地位や役職を与えられて、取引業者さんにも喜んでいただくことが続くなら、上場がいいのかなと思っただけなんです。ですから、上場したくて店を増やしたということは全くないですし、上場後も大して変わらないと思います。僕がちょっと窮屈になるくらいです。

(敬称略 ※一部内容を変更しています。2017年6月8日)

【レポート】FOODiT TOKYO 2016「古い体質を打ち破れ!次世代リーダーたちの提言」(後編)に続きます。

この記事をシェアする
コヤマタカヒロ
この記事を書いた人

1973年、兵庫県生まれ。90年代にファッション誌にてライター業をスタート。現在はデジタル機器やガジェット、家電などのモノ系とそれらを取り巻くサービスを中心に取材・執筆活動を展開。学税時代はずっと厨房でアルバイトしていたこともあり、趣味は料理。

おすすめ5選

新着記事