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2018年2月26日

リピーターが増える! おもてなし歳時記 ~二十四節気の旬の食材と話題【啓蟄の巻】

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「季節感」は、あなたのお店をあたたかく魅力的に彩ってくれます。日本で昔から親しまれてきた「二十四節気」。それぞれの時期に合わせた旬の食材と話題で、お客さまに季節の移ろいを味わっていただきましょう。それは何より心がこもったおもてなしであり、あなたのお店のリピーターを増やす最強の武器になってくれるはずです。

「二十四節気」とは?
一年をおよそ15日ずつ二十四の季節に分けたもの。立春、夏至、大寒など、漢字二文字で季節ごとの特徴を表現しています。現在は二十四節気の最初の日だけを指しますが、もともとは時期全体のことでした。年によって、それぞれの時期は多少前後します。

「啓蟄」とは

啓蟄【けい-ちつ】2018年は3月6日~3月20日

さあ、イメージしてみましょう。土の中で冬の寒さに耐えていた虫たちが、目を覚ましてもぞもぞと動き始めています。「蟄」は虫などが地中にこもることで、「啓」は閉じているものを開いて明るい場所に導くこと。私たちも春に向かって明るいほうに目を向け、もぞもぞとと新しい活動を始めましょう。虫は土の中だけでなく、心の中にもいます。「腹の虫がおさまらない」「虫が好かない」など、おもにマイナスの感情を引き起こしがち。そっちの虫には、張り切ってもらう必要はありません。不愉快なことをされたり言われたりすると困った虫が動き出しそうになりますが、ムシしていればそのうちおとなしくなります。

「啓蟄」においしい魚-サワラ


魚へんに「春」と書いて「鰆=サワラ」。まさに今が旬の魚です。煮てよし焼いてよし刺身でもよしで、昔から冠婚葬祭でも使われてきました。ほっそりした体型が特徴で「狭い腹(さはら)」から、この名前がついたとか。魚には珍しくカリウムが多く、血圧を下げる効果が期待できます。もちろん良質のタンパク質も豊富。サワラがほかの魚と違うのが、頭側よりしっぽ側のほうがおいしいこと。お客さまに切り身をお出しする場面で、しっぽ側のときにはこの話をすると、豆知識を楽しんでもらいつつ相手を大切に思っている気持ちを伝えられます。頭側のときには、とくに何も言わずにお出ししましょう。

「啓蟄」においしい自然の恵み-山菜

「啓蟄」になってうごめき出すのは、虫だけではありません。山や野原ではさまざまな山菜が芽を出して、春の訪れを実感させてくれます。山うど、ふきのとう、たらのめ、ぜんまい、せり……。山菜の特徴はアクが強くて苦いこと。山菜の若い芽には成長に必要な養分がぎっしり詰まっていますが、それを外敵から守るために食べにくい味になったと言われています。ほろ苦さをおいしく感じられるのは、大人になったからこそ。成長のエネルギーが詰まっている若者も、アクが強くて接しづらかったりします。大人の包容力でそんなほろ苦さを楽しんであげることで、持ち味を存分に発揮してくれるでしょう。

「啓蟄」においしいお菓子-ぼたもち

今年の春の「彼岸入り」は3月18日(日)です。お彼岸には春には「ぼたもち」、秋には「おはぎ」が欠かせません。このふたつは(厳密にはいろいろありますが)、おおむね同じものです。牡丹が咲く春は「牡丹餅」、萩が咲く秋は「お萩」と呼ばれてきました。ただ最近は、一年じゅう「おはぎ」と呼ばれがちです。呼び方はさておき、欠かせないのが小豆のあんこ。小豆には豊富な栄養素が含まれていますが、とくに際立っているのが食物繊維の多さです。甘さたっぷりのあんこはカロリーが気になるもの、食物繊維のおかげでお通じがよくなり体調改善につながるかもしれません。まさに、棚からぼたもちですね。

「啓蟄」にちなんだおもてなし
-「白」にこだわってホワイトデーを盛り上げよう


3月14日は「ホワイトデー」。何となく心浮き立つ日にスポットを当て、期間限定で「白」にこだわった「ホワイトデー祭り」を実施してみるのはどうでしょう。白アスパラガス、今が旬のカリフラワー、白モツの串焼き、白身魚のお造り、ホワイトソースを使ったグラタンやドリアやパスタなどなど、白にちなんだメニューをたっぷり用意します。女性のお客さま全員に白のグラスワインをサービスしたり、キャンディやマシュマロのお土産をプレゼントしたりするのもいいかも。いちおう全員に「きっと、たくさんもらっていらっしゃると思いますが」と言っておくのも、お店からのささやかなプレゼントです。

「啓蟄」に繰り出したいセリフ

お客さまとの会話にさりげなく季節感を盛り込んで、楽しい気持ちになってもらったり「おやっ、このお店はひと味違うかも」と思ってもらったりしましょう。

「雪になりましたね。この時期の雪は『忘れ雪』とか『名残雪』と言うらしいですよ。こういう日は、あの歌が頭の中でリフレインしちゃうんですよね」

「春眠暁を覚えずって言いますけど、何となく一日じゅう眠いですよね。人間の体って、春になって夜明けが早くなると、それにつられて寝不足になるらしいですよ」

「春の『ぼたもち』と秋の『おはぎ』だけじゃなくて、夏は『夜船(よふね)』(お餅をつくときに音がしない→着き知らず)、冬は『北窓(きたまど)』(つき知らず→月知らず)っていう呼び方もあるそうですね。昔の人は風流というか、こじつけが好きというか」

次回は「春分」をご紹介します。

夏至の巻
小暑の巻
大暑の巻
立秋の巻
処暑の巻
白露の巻
秋分の巻
寒露の巻
霜降の巻
立冬の巻
小雪の巻
大雪の巻
冬至の巻
小寒の巻
大寒の巻
立春の巻
雨水の巻
啓蟄の巻
春分の巻
清明の巻
穀雨の巻
立夏の巻
小満の巻
芒種の巻

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旬の力総研
この記事を書いた人

食材、お酒、料理、日本文化、コミュニケーションなど、幅広い専門分野を持つメンバーが集結。暦と食、暦と日常生活の幸せな関係を追求し、旬の食べ物や旬の話題をおもてなしにどう生かすかを総合的に研究している。

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