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連載
2018年2月7日

リピーターが増える! おもてなし歳時記 ~二十四節気の旬の食材と話題【雨水の巻】

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「季節感」は、あなたのお店をあたたかく魅力的に彩ってくれます。日本で昔から親しまれてきた「二十四節気」。それぞれの時期に合わせた旬の食材と話題で、お客さまに季節の移ろいを味わっていただきましょう。それは何より心がこもったおもてなしであり、あなたのお店のリピーターを増やす最強の武器になってくれるはずです。

「二十四節気」とは?
一年をおよそ15日ずつ二十四の季節に分けたもの。立春、夏至、大寒など、漢字二文字で季節ごとの特徴を表現しています。現在は二十四節気の最初の日だけを指しますが、もともとは時期全体のことでした。年によって、それぞれの時期は多少前後します。

「雨水」とは

雨水【う-すい】2018年は2月19日~3月5日

雨と水だなんて、梅雨時でもないのに妙にジメジメした語感です。雪が雨になり、氷が溶けて水になる頃ということで、この名前になったとか。そう聞くと、春が来た喜びにあふれている言葉に見えてきます。イメージなんてアテになりませんね。昔からひな人形は雨水の始まりの日に飾ると、良縁に恵まれると言われています。それは、生命の源である水が眠りから覚め、草木が芽吹き始めるから。飲食店にとっても、水は大切な守り神です。いつも以上に念入りに水回りを磨き上げるなどして、たくさんのお客さまとの良縁が生まれたり、いろんな新しい芽が生まれたりするのを願ってみるのはどうでしょうか。

「雨水」においしい海藻-ワカメ

生産量がもっとも多い海藻類であり、さまざまな料理で活躍するワカメ。乾燥させたものや塩蔵処理をしたものがおなじみですが、春先のこの時季だけは「生ワカメ」が出回ります。さっと茹でると鮮やかな緑色になり、歯ごたえも香りも味も格別。多種多様な栄養素がつまっていて、肥満や高血圧を予防し、コレステロールを下げる働きがあると言われています。持ち味を壊さないポイントは、加熱し過ぎないこと。生ワカメのしゃぶしゃぶなどを食べつつ、手や口を出し過ぎたり熱くなり過ぎたりする無意味さを実感しましょう。

「雨水」においしい貝-ハマグリ


ハマグリは、夏の産卵期を前に身が太る春がもっともおいしい時季。かつては旧暦3月のひな祭り(3月下旬から4月頃)が食べ納めとされていました。鉄やビタミンB12が豊富で、貧血予防の効果が期待できます。コレステロールを下げると言われているタウリンもたっぷり。ハマグリは、ひな祭りや結婚の祝い事には欠かせません。二枚の貝殻がもともとの対の組み合わせ以外はピッタリ合わないことから、貞節や夫婦和合の象徴とされてきました。実際は、そういう願いを込めても結果的にそうはならないケースも多々あるわけですが、とりあえず願っておく大切さと限界をハマグリに学んでみるのも一興です。

「雨水」においしい野菜-ナバナ


ナバナ(菜花)は「菜の花」の花が咲く前の状態で、若くてやわらかい茎や葉、つぼみを、おひたしや炒め物などにして食べます。免疫力を高めてくれるβカロテンが豊富に含まれているのが特徴。「菜の花」は、特定の品種を指す名称ではありません。アブラナ科の黄色い花の総称で、ナバナにも和種や西洋種など、さまざまな種類があります。大らかにひとまとめにされるいっぽうで、江戸東京野菜の「のらぼう菜」や京野菜の「伏見寒咲花菜」といったブランド種も。ナバナがおいしいのは、花が咲き始める前です。お店も、大きく花開く前ならではの魅力を大切にしつつ、個性を確立していきましょう。

「雨水」にちなんだおもてなし-
   春一番にちなんで縁起よく「一番」推しを展開

春一番は、立春から春分までのあいだに初めて吹く強い南風のこと。関東地方では、おもに「雨水」の時季に観測されます。春一番にちなんで、お店のメニューで「一番」推しを展開するのはどうでしょうか。何となく縁起がよさそうな響きもあります。あえて一番出汁を使った煮物やお味噌汁、日本人が一番たくさん食べる野菜であるダイコンのサラダ、ビールは「一番搾り」、〆のメニューには「サッポロ一番」、牛肉のイチボのステーキ……。いや、最後のはちょっと苦しいですね。その日の一番乗りのお客さまやサイコロを振って「一」を出したお客さまに、特別なサービスをご用意するのも楽しそうです。

「雨水」に繰り出したいセリフ

お客さまとの会話にさりげなく季節感を盛り込んで、楽しい気持ちになってもらったり「おやっ、このお店はひと味違うかも」と思ってもらったりしましょう。

「春告鳥はウグイス、春告草は梅、春告魚はメバルやニシンやサワラ(地域によって諸説あり)……。春は、いろんなものが『ほらほら、そろそろ来たよ』って告げに来てくれますよね」

「ひな祭りのときに飲む『白酒』って、甘酒のことだと思ってたんですけど、違うんですね。しっかりアルコールも入ってるし。今日は試しにご用意してみました」

「3月のことを『弥生』って言いますよね。あたたかい陽気になって草木が『弥生(いやお)い』茂る月ってことで、縮まって『弥生(やよい)』になったそうですよ」

次回は「啓蟄」をご紹介します。

夏至の巻
小暑の巻
大暑の巻
立秋の巻
処暑の巻
白露の巻
秋分の巻
寒露の巻
霜降の巻
立冬の巻
小雪の巻
大雪の巻
冬至の巻
小寒の巻
大寒の巻
立春の巻
雨水の巻
啓蟄の巻
春分の巻
清明の巻
穀雨の巻
立夏の巻
小満の巻
芒種の巻

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旬の力総研
この記事を書いた人

食材、お酒、料理、日本文化、コミュニケーションなど、幅広い専門分野を持つメンバーが集結。暦と食、暦と日常生活の幸せな関係を追求し、旬の食べ物や旬の話題をおもてなしにどう生かすかを総合的に研究している。

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