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2018年1月23日

飲食店専門! 石崎先生のよくわかる法律相談【13】居抜き物件の契約で注意すべきポイントは?

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店舗の貸借トラブル、スタッフの労務問題、お客さまからのクレーム・・・。飲食店の日々の営業の中で「法律的にどうなの?」「これって違法なの?!」と迷うことは少なくありません。法律はもちろんのこと、外食業界に精通した弁護士の石崎先生が、飲食店経営にまつわる悩みにズバリと回答をします。

2号店の出店、居抜き物件の契約で注意すべきポイントは?

本日の相談
都内で居酒屋を経営して3年になります。

おかげさまで経営も軌道に乗り、近い将来、2号店をオープンさせたいと思い、物件の情報を集めています。コストを抑えられることから、居抜き物件の契約も視野に入れていますが、知人から「居抜き物件は思わぬトラブルもある」と聞いています。

具体的にどのような点に注意すべきか、教えていただけないでしょうか。

(オーナー 30代 男性)

家主、元テナントの二者にしっかり確認を

石崎先生の回答
居抜き物件とは、前のテナントの内装の造作や設備・什器などがそのまま残っている物件のことです。前テナント側との交渉が必要ですが、造作などをそのまま引き継ぐことができれば、内外装工事費の減額も可能です。

前のテナントとしては、原状回復費用を軽減することができ、新しいテナントとしては、初期費用を抑えられます。さらに家主側としても、物件を隙間なく貸すことができる、まさに「三方良し」とも思えます。

最近では、居抜き物件のマッチングサービスなどもあり、居抜き物件も本当に一般的になりました。しかし、この居抜き物件については、トラブルも非常に多く、実際にご相談も増えています。

新しいテナントとして気を付けなければならないのは、まず、家主との関係です。一般的に、賃貸借契約は、転貸や譲渡を禁止しています。元のテナントから「家主さんの承諾はもらっているから安心してほしい」と聞いていたにもかかわらず、いざ譲渡した矢先、家主から、看板が変わっていることを指摘され、「譲渡など知らない。譲渡は認められないから退去してほしい」と言われてしまうこともあります。

原状回復についても、本当に真っ新な状態(いわゆる「スケルトン」)にまで戻すのか、居抜きで譲渡を受けたときの状態にまで戻せば足りるのか、しっかりと認識する必要があります。通常、新たに家主と結ぶ契約では、前者の場合がほとんどですが、居抜きで譲り受けたのだからその状態に戻せばいいと考えているテナントさんも少なくありません。

また、元のテナントさんとの間でも問題は起こります。例えば、什器備品などは、通常、現状有姿で売買しますが、あとで実は厨房機器が壊れていたとか、リース物件でリース料を滞納していたといった場合、営業できなくなってしまったり、思わぬ出費がかさんでしまいます。トラブルがあったときや、敷金の扱いなども取り決めておかなければなりません。

このように、居抜き物件は、初期費用を抑えて開店できるメリットがある一方で、多くのリスクもありますので、利用する際は、しっかりと勉強するか、専門家に相談することをお勧めします。

■相談一覧
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【2】 寿司のネタだけ食べてシャリを残す。食べ方はお客さまの自由?
【3】アルバイトにペナルティって課せられる?
【4】自家製サングリアの提供ってダメなの?
【5】お子さんのケガ。これって店の責任?
【6】「お子さん入店お断り」は法律的にOKですか?
【7】突然の家賃の値上げ。従うしかないですか?
【8】スタッフがお客さま情報をSNSにアップ??
【9】店内でお客さまの持ち物が盗まれた? 店にも責任があるの?
【10】SNS に事実と違うことが書かれました。対応策を教えてください!
【11】ランチタイムだけ友人に店を貸したい。気をつけることは?
【12】スタッフの不正、対処の方法を知りたい

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石崎冬貴
この記事を書いた人

弁護士・社会保険労務士 弁護士法人横浜パートナー法律事務所(http://www.ypartner.com)所属 フードコーディネーターとしても活動し、法的支援を得ることの少ない小規模飲食店や飲食関連業者を支援するため、 飲食業界専門で法的支援を行っている。飲食店支援サイトも開設

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