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2017年12月19日

大野先生の飲食店開業に必要なお金講座【7】個人で日本政策金融公庫から融資を受ける際のハードル

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特別な資格を必要とせずに開業できる飲食店は、新規参入が多い業態です。その反面で開業から3年後に継続している確率はたったの1割とも言われています。その多くが資金繰りがうまく行かず廃業していると考えられます。税理士業界初の飲食店開業支援専門の税理士 大野晃先生が、繁盛する飲食店が必ず行なっている開業資金の調達方法をわかりやすく解説します。(明日のレストラン編集部)

労力を考えると個人融資はハードルが高い!

個人で日本政策金融公庫へ融資を受ける場合は、ハードルが高いと言っていいでしょう。多くの飲食店開業者は、調理やサービスのスキルを中心に修業を積んでいると思いますが、経営スキルを身につける機会はそう多くないと思います。そのため、融資申請に際して必要な事業計画書作成知識、税金などの計算知識や融資額の相場感がわからないというケースがほとんどでしょう。

また初めて事業計画書を作成する方は、その数字や行動が正しいのか判断がつかず、手探りの状態で進めるため、非常に時間がかかってしまいます。

開業前は人材採用、物件選び、内装会社の選定、商品開発など、やるべきことが山積みです。それと並行して経営スキルを習得し、融資の準備を行なう労力は、並大抵のことではありません。

返済原資<借入れ返済額=融資は下りない

事業計画書を作成する際、最も重要なことは「実現性が高いと感じられる計画であるかどうか」です。貸す側は、返済原資をまかなえる計画になっているかを見ます。

返済原資とは、借入金などの返済に充てられる確実なお金のことを言います。計算式は個人なら「税引き後利益−生活費+減価償却費など」で、法人なら「税引き後利益+減価償却費など」で算出されます。

この返済原資が借入れ返済額より少なければ、返済が不可能と見られ「貸したくない」と判断され兼ねないのです。

先の計算式でわかるように、返済原資は利益から税金を引いて算出するため、税金の計算が必要となります。十分な税法などの知識があればいいのですが、一人で数値計画を立てる際にはこの勉強もしなければならないのです。

総投資額の相場感を知らないと数値計画が立てられない

事業計画書は、総投資額にいくら必要で、いくら借入れするか、その借入れをどのような計画で返済していくかを示すものですが、そもそも総投資額の相場がわからないという方も多いでしょう。この相場感を知らないと、賃料いくらまでの物件が選べ、内外装工事費にかけられる上限額はいくらかなど、逆算するのも難しいと思います。

また、例え数値計算が完成しても終わりではありません。日本政策金融公庫にプレゼンするための定性面の考察や、開業前のマーケティング活動なども十分に行なった上で、融資面談を受けなければ貸してもらえないのです。

精度の高い事業計画書を作成するために

融資後も専門家が一緒にフォローをしていかなければ「決算書は正確か」「しっかり納税しているか」「返済に滞りはないか」など、貸す側も不安に感じることでしょう。

もしまだ融資申請前であれば、一度認定支援機関である専門家に相談してください。なかでも、飲食店のことに精通している専門家を選ぶのがベスト。一緒に事業計画書の作成を進めた方が精度も高まり、融資してもらえる確率がぐっと上がります。また融資手続き関係を専門家などに代行してもらえば、本業に集中できるのでおすすめです。

大切なのは融資を受けることではなく、融資を受けてからどんな飲食店経営をしていくかということ。その辺をはき違えないよう、注意してください。

※大野先生の連載は今回が最終回です。

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大野晃
この記事を書いた人

ITA大野税理士事務所 飲食店開業融資支援専門税理士
株式会社CHANGE 代表取締役
「飲食店が必ずやっている開業資金の調達方法」著者
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昭和59年生まれ 東京都千代田区神保町に在住。

飲食店の開業率の向上、及び飲食店の廃業率の低下を理念に掲げており、また飲食店の成功を、本当に助ける事ができるのは開業前からの開業融資支援が重要と考え日々活動中。

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