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2017年12月7日

大野先生の飲食店開業に必要なお金講座【5】必要な融資額を融資してもらえるか

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特別な資格を必要とせずに開業できる飲食店は、新規参入が多い業態です。その反面で開業から3年後に継続している確率はたったの1割とも言われています。その多くが資金繰りがうまく行かず廃業していると考えられます。税理士業界初の飲食店開業支援専門の税理士 大野晃先生が、繁盛する飲食店が必ず行なっている開業資金の調達方法をわかりやすく解説します。(明日のレストラン編集部)

自己資金の9倍借りられるって本当?

今回は、日本政策金融公庫で必要な融資額を融資してもらえるかについてお話します。

まず日本政策金融公庫が示す自己資金要件の条件を読み解くと、新創業融資制度なら自己資金の9倍の融資額を、中小企業強力化資金なら自己資金要件なしで貸してくれることになっています。

しかしあくまで私見ですが、融資額は自己資金の2倍程度が妥当といったところでしょう。そのため、しっかりと自己資金を貯めることを前提に、不足分は親族から借りるなどで確保しておくことが大切です。

事業計画書では問題点の対応・改善までを示す

融資を申請する際は、事業計画書が必要です。

事業計画書ではポジティブなアピールをするのでなく、立地の問題点を洗い出し対応策をしっかりと考え、どのような行動計画を作成し、検証して改善行動にしていくかを示すことの方が重要です。

また経営戦略を考えるなかで、競合店調査や交通量、売上げモデルなどの調査、SWOT分析(※1)、クロス分析(※2)などで、自店の差別化戦略を導き出しましょう。

さらにコンセプトに沿った店づくりをするための内外装費はいくらかかるか、どのような商品をいくらで売るのか、どのような仕入れが必要かなどを検討します。
これらを踏まえ、事業計画書作成から物件探しまでは、以下のようにすすめていくのが理想です。

①商品ごとの単品原価率を算出し、ロス率を考慮した上で原価率を計算
②必要利益の算出
③必要運転資金の算出
④設備資金投資(物件取得費、厨房機器購入費、内外装費など)の予算を算出
⑤専門家などと相談し、融資相場感を知る。物件条件や立地の範囲を絞り込む
⑥事業計画書に見合う物件を探す

事業計画書は物件取得前に作成すべし!

実際は事業計画書があいまいなまま、先に不動産物件を見つけるケースが非常に多いです。この場合、物件の席数から算出した売上げから運転資金を算定することになります。そうすると不動産物件に合わせた事業計画書となり、戦略やコンセプトなどは後付けになる可能性があります。

しっかりとした戦略、予算、融資の相場感を考慮した事業計画書を作成した上で、物件探しをする方が、的が絞られるため見つけやすいでしょう。
事業計画書は航海図です。事業安定化のため、事前にしっかりと作っておきましょう。

飲食店の融資実績のある専門家に相談を!

融資申請の際のよくありがちな失敗は、飲食店の先輩経営者から間違ったアドバイスを受け、運転資金を残さなかった、インターネットの情報だけで誤った事業計画書を作成し、融資が下りなかったなどが挙げられます。

まずは飲食店の融資実績のある専門家2人以上に、現状を相談しましょう。もしすでに融資申請をしてしまった場合でも、創業時よりは融資審査が厳しくなるかもしれませんが、専門家へ相談してください。

大切なのは、飲食店の創業融資を常時サポートしている専門家への相談です。飲食店開業にあたり余剰資金はあると言えるのか、相談してみましょう。

できれば、専門家に相談する場合にはご自身で融資申請をする前の相談がベストです。ご自身で失敗してから専門家に依頼しても厳しい場合が多いです。

次回は、自己資金だけで開業してしまった場合の対応策についてお話します。

※1 SWOT分析 強み(Strong)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つのカテゴリーで要因分析し、経営資源の最適活用を図る方法。

※2 クロス分析 調査資料やアンケートデータを2〜3個の項目に絞り、それらが属しているものがどのような関連を持つかを分析する方法。

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大野晃
この記事を書いた人

ITA大野税理士事務所 飲食店開業融資支援専門税理士
株式会社CHANGE 代表取締役
「飲食店が必ずやっている開業資金の調達方法」著者
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昭和59年生まれ 東京都千代田区神保町に在住。

飲食店の開業率の向上、及び飲食店の廃業率の低下を理念に掲げており、また飲食店の成功を、本当に助ける事ができるのは開業前からの開業融資支援が重要と考え日々活動中。

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