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2017年11月17日

飲食店専門! 石崎先生のよくわかる法律相談【9】店内でお客さまの持ち物が盗まれた? 店にも責任があるの?

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店舗の貸借トラブル、スタッフの労務問題、お客さまからのクレーム・・・。飲食店の日々の営業の中で「法律的にどうなの?」「これって違法なの?!」と迷うことは少なくありません。法律はもちろんのこと、外食業界に精通した弁護士の石崎先生が、飲食店経営にまつわる悩みにズバリと回答をします。

相談:店内で盗難? どこまで店に責任があるの?

本日の相談
オーナーシェフが腕を振るう小さなフレンチレストランで働いています。

先日ご来店いただいた中年男性のお客さまのジャケットを店でお預かりしました。

お帰りの際にジャケットをお返ししたところ、内ポケットに入っていた万年筆がないと訴えられました。高級な万年筆だそうで、弁償してほしいと言われています。

お預かりする際に「貴重なものは入っていませんか?」と確認をするようにしていました。

小さな店内ですので、誰かがジャケットを触っていればすぐにわかると思うので、お客さまの勘違いだと思うのですが、絶対に入っていたと主張されて、金銭で解決してほしいと言われています。どのような対処をすれば良いでしょうか。
(ホールスタッフ 30代 女性)

一定の証拠を見せてもらいましょう

石崎先生の回答
まず、法律上の原則からご説明しましょう。

飲食店や旅館などで、店や施設が客の荷物を預かる場合については、商法で特別な規定があります。それは、預かったものを紛失したり壊した時には、その理由が不可抗力でなければ、責任を負うというものです。

しかし、これには例外があり、貨幣(お金)や有価証券(金券)など高価なものを預ける際は、その内容と金額を明示して預けないといけないということになっています。預けていたカバンがなくなった後、「実はその中に多額の現金が入っていた!」という後出しで、店が責任を負うのはおかしいですからね。

今回の場合は、なくなったのは万年筆ということで、これが高価かどうかという点が問題になります。

万年筆の中には、宝石が散りばめられたものもありますから、そういったものであれば、もちろん高価なものといえるでしょうが、他の万年筆と比べて少し高いというくらいであれば、高価品とは言えないと思います。少なくとも、客観的に何万円以上、という基準はありませんので、個々の事件に即して判断されることになります。

つまり、法律上では、万年筆が非常に高価なものであれば、それを聞いていない店側は、支払う必要はありません。逆に、万年筆が高価品とはいえなければ、店が負担しなければならないということになります。なんとなくあべこべですね。

法律とは別に、実務上どうするかは微妙な問題ですが、「壊れた」というのならまだしも、単に「なくした」というものに対し、無条件でお金を払うのは抵抗があると思います。

領収証など金額と購入の事実を示す一定の証拠を見せてもらい、店として一応の説明がなされた場合にのみ、落ち着きどころを模索するというのが実務的かもしれません。

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■過去の相談
【1】 20名様のドタキャン。泣き寝入りしかないですか?
【2】 寿司のネタだけ食べてシャリを残す。食べ方はお客さまの自由?
【3】アルバイトにペナルティって課せられる?
【4】自家製サングリアの提供ってダメなの?
【5】お子さんのケガ。これって店の責任?
【6】「お子さん入店お断り」は法律的にOKですか?
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石崎冬貴
この記事を書いた人

弁護士・社会保険労務士 弁護士法人横浜パートナー法律事務所(http://www.ypartner.com)所属 フードコーディネーターとしても活動し、法的支援を得ることの少ない小規模飲食店や飲食関連業者を支援するため、 飲食業界専門で法的支援を行っている。飲食店支援サイトも開設

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