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2017年10月10日

飲食店専門! 石崎先生のよくわかる法律相談【7】突然の家賃の値上げ。従うしかないですか?

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店舗の貸借トラブル、スタッフの労務問題、お客さまからのクレーム・・・。飲食店の日々の営業の中で「法律的にどうなの?」「これって違法なの?!」と迷うことは少なくありません。法律はもちろんのこと、外食業界に精通した弁護士の石崎先生が、飲食店経営にまつわる悩みにズバリと回答をします。

突然の家賃の値上げ。従うしかないですか?

本日の相談
郊外で居酒屋を営んでいます。もうすぐ20年になります。

家主とご縁があり、ご好意で周辺の相場よりも安い賃料で借りています。
時々、家主も店に来てくださり、良好な関係を築いていました。

しかし、高齢の家主が体調を崩されて入院されたことを機に、
家主の代理人として息子さんがやってきて、
突然、家賃を値上げしたいと一方的な条件を提示されました。

支払えない金額ではありませんが、どうも釈然としません。
値上げが納得できない場合は、立ち退くしかないでしょうか。
(店主 50代 男性)

まずは現状の契約内容の確認を!

石崎先生の回答
家主やビルオーナーなどの貸主からの賃上げ交渉は、飲食店を経営していく上では避けて通れないと思います。賃上げに応じなければ退去してもらうといった形で、強硬な手段を執ってくる貸主もいますが、契約内容によって、対応の方法が変わってきます。

まずは一度、現在のご自身の店がどのような契約になっているのか、ご確認ください。

普通の賃貸借契約の場合、契約はすでに成立していますから、貸主が一方的に賃上げを求めることはできません。日本の法律では、不動産の借主は非常に強く保護されていますので、賃上げに応じなかったからといって、すぐに立ち退かなければならないということにはなりません。

普通の賃貸借契約で、貸主がどうしても賃料を上げたいということであれば、賃料増額の調停や訴訟を起こすことになります。しかし、実際の家賃相場とかなり離れていないと、簡単には増額は認められません。時間的にも費用的にもコストがかかるため、調停や訴訟は貸主にとって現実的ではありません。

最近、飲食店でよく結ばれることの多い定期賃貸借契約の場合は、注意が必要です。定期賃貸借契約では一定期間の経過によって、当然に契約が終了します。契約終了以降は貸主との新しい契約交渉が始まりますので、「賃料を●円上げてくれないと、契約更新はしない」と貸主に言われてしまえば、そこまでということになります。

ちなみに、大規模な店舗では物価に合わせて、自動的に賃料が増減する特約が締結されている場合があります。その特約に従って賃料が上がることがありますが、賃料が下がることもありますので、ある意味でフェアといえます。

仮に普通の賃貸借契約であって借主が強く保護されていると言っても、貸主とのトラブルは好ましいものではありません。定期賃貸借契約であっても交渉の余地はあります。もし、紛争化しそうであれば、専門家へのご相談をおすすめします。

■過去の相談
【1】 20名様のドタキャン。泣き寝入りしかないですか?
【2】 寿司のネタだけ食べてシャリを残す。食べ方はお客さまの自由?
【3】アルバイトにペナルティって課せられる?
【4】自家製サングリアの提供ってダメなの?
【5】お子さんのケガ。これって店の責任?
【6】「お子さん入店お断り」は法律的にOKですか?

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若き飲食経営者たちの夢〈1〉赤塚元気氏(株式会社DREAM ON COMPANY)

協力:
弁護士法人横浜パートナー法律事務所
飲食店支援サイト

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石崎冬貴
この記事を書いた人

弁護士・社会保険労務士 弁護士法人横浜パートナー法律事務所(http://www.ypartner.com)所属 フードコーディネーターとしても活動し、法的支援を得ることの少ない小規模飲食店や飲食関連業者を支援するため、 飲食業界専門で法的支援を行っている。飲食店支援サイトも開設

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