飲食店で働く人のための情報マガジン by トレタ

連載
2017年10月5日

若き飲食経営者たちの夢〈2〉花光雅丸氏(株式会社subLime)

この記事をシェアする

外食業界を牽引する経営者たちの夢に迫る本企画の第2回にご登場していただくのは株式会社subLime代表取締役社長の花光雅丸氏。会社を設立して12期の同社は、近年M&Aによって業容を拡大し約400店舗の陣容となっている。社名の意味は「荘厳な」「崇高な」「雄大な」というもの。その理念を持って、急ピッチで企業規模を拡大する花光氏に「夢」を聞いた。


花光雅丸氏

花光雅丸氏は1981年6月生まれ。和歌山・南紀白浜で生まれ育ち、リゾートの光景から「自由」を感じ取り、漠然としながらも将来の夢を重ねていたという。大学卒業後の2004年8月に故郷で屋台を始めて社会人スタート。その後当時急成長していたレインズインターナショナルの秘訣を知りたく「1年間限定」で同社に入社、そして2006年6月subLimeを設立した。花光氏が大きく脚光を浴びたのは2013年2月に八百八町を事業継承したことである。同社のオーナーはつぼ八創業者の石井誠二氏。この事実に多くの人は時代が変化したことを感慨深く思ったことであろう。そして今年9月多業態を展開するTKSを事業継承。これによってsubLimeは約400店舗を擁する外食企業となった。

M&Aは会社を大きくするための手段

――20代のころ、どのような目標を掲げていましたか。
レインズインターナショナルを退社して2005年11月、吉祥寺に屋台を出店しました。ここからsubLimeの事業はスタートします。このころの目標は「会社の規模を大きくすること」です。規模を大きくして利益をたくさん出せばやりたいことがたくさんできるようになると思っていたからです。M&Aはそのための手段だと考えました。

そして、直営で50店舗になったころにRHコーポレーションのお話をいただきました。こちらは日本で初めてアイスクリームショップの「レインボーハット」を立ち上げて40年、商業施設内に50店舗展開していました。これによって当社は100店舗体制になりました。このとき29歳でした。達成感はありましたが、すぐに忘れ次のステージに進みました。

――そして、M&Aを積極的に手掛けていくのですね。
当社が大きく転換したきっかけとなったのは2013年2月に八百八町を事業継承したことです。オーナーである石井誠二氏から「八百八町を引き継いでほしい」と言っていただいてから、私は大衆居酒屋チェーンの文化を継承する使命感を抱きました。

さらに、2015年8月にパートナーズダイニングをM&Aしました。これによって当社のM&Aの戦略性は一層進みました。まず、関西に事業拠点を持つことができたこと。同社の持つそれぞれ一時代を築いた業態は今日も大きな可能性を持っている。管理系が上場企業基準並みに整理されていたことから、当社の内部統制的にも有意義なものでした。

そして、2017年9月にTKSを事業継承しました。TKSの業態は創業者神里隆会長の教えの通り一店一店がとても丁寧に作られています。TKSには当社グループの中にあって、これまで築いてきたことを大切にして展開してほしいと思っています。

――業務委託方式による社員独立制度が定着しているようですね。
そもそも私と一緒に創業したメンバーは独立志向の人ばかりでした。そこで「仲間の夢を応援したい」という想いで、リスクが少なくて、独立した人が継続して営業ができるスキームを考えたことが、現在の社員独立制度のはじまりです。軌道にのっている店を業務委託していますから、投資はほとんど必要なく自分がオーナーとなって売上を下げることがなければ手取りが増えます。成功率は96%で、撤退した人も当社やグループ会社の社員になっています。

宿泊、飲食、アクティビティ、ブライダル・・・
大人のための「島」を作りたい

――これから、どのように事業を展開していこうと考えていますか。
私の夢は「島」です。子供のころから島には「自由」というイメージがありました。この中で、宿泊、飲食、アクティビティ、ブライダルなどを手掛けてみたい。これからAIが台頭してくることで人間には余暇が生まれます。その大切な「余暇」を高いクオリティで過ごしてほしいと考えています。

この事業を発芽させるために今、客単価4万円程度のハイエンドのレストランの経営をはじめました。来年からオーベルジュを展開していきます。これは地方自治体を巻き込んだもので、町の資産を有効活用することに加え、人材を地元で育てていきたい。そして、このような要素を島の中に集めていきたい。

私は現在36歳で、subLimeグループは約400店舗を持つ企業体に成長しました。このことは創業時には考えられないことでした。そこで自分自身が思い描く夢が大きければ大きいほど、もっと成長でき、関わる人をより一層楽しく出来ると思うようになりました。これからは5000店舗を目指していきます。

当社の理念は「世界をワクワクさせる!」というものです。規模が大きくなればなるほど多種多様な人がsubLimeに集まってきて、みんなで世界をワクワクさせる事業を発芽させていけると考えています。これからも「日々是冒険」のマインドを持ち続けて、夢を実現していきます。

【編集後記】千葉哲幸のコメント
私が初めて花光氏と出会ったのは2005年の暮れ、屋台を開業したばかりの頃であった。吉祥寺のホテルの裏で営業していた同店は、ホテルのランドマーク性とインフラを巧みに利用していて小粒ながら商売人の賢さが凝集されていた。その後いつしか同社は「規模の拡大」ばかりが注目されるようになった。なぜ急ピッチで店数を増やそうとするのだろうか。しかし、subLimeのM&Aには傘下に入れた企業をリスペクトする姿勢があり、それが同社の企業体質として生かされていった。少年の表情で早口にビジョンを語る花光氏からは、仲間と共に成長していこうという純朴な心根が伝わってくる。その集大成とも言える「島」にはより色濃く「subLimeワールド」が表現されていることであろう。

■過去の記事

若き飲食経営者たちの夢〈1〉赤塚元気氏(株式会社DREAM ON COMPANY)

■おすすめ記事

河野祐治の大繁盛への道【1】繁盛店視察の6つの鉄則


大野先生の飲食店開業に必要なお金講座【1】借入はリスクではありません!

この記事をシェアする
千葉哲幸
この記事を書いた人

フードフォーラム代表。
柴田書店『月刊食堂』と、そのライバル誌である商業界『飲食店経営』の編集長を歴任するなど、フードサービス業の記者歴35年。業界関連の取材・執筆、書籍プロデュース、セミナー活動を行う。2017年4月に「志を持ち、生き方を変え、日本を元気にする」を冠としたエーアイ出版『夢列伝』の編集長に就任し、活動領域を広げている。

おすすめ5選

新着記事