飲食店で働く人のための情報マガジン by トレタ

連載
2017年9月27日

リピーターが増える! おもてなし歳時記〜二十四節気の旬の食材と話題【寒露の巻】

この記事をシェアする

「季節感」は、あなたのお店をあたたかく魅力的に彩ってくれます。日本で昔から親しまれてきた「二十四節気」。それぞれの時期に合わせた旬の食材と話題で、お客さまに季節の移ろいを味わっていただきましょう。それは何より心がこもったおもてなしであり、あなたのお店のリピーターを増やす最強の武器になってくれるはずです。

「二十四節気」とは?
一年をおよそ15日ずつ二十四の季節に分けたもの。立春、夏至、大寒など、漢字二文字で季節ごとの特徴を表現しています。現在は二十四節気の最初の日だけを指しますが、もともとは時期全体のことでした。年によって、それぞれの時期は多少前後します。

「寒露」とは

寒露【かん-ろ】2017年は10月8日~10月22日


この頃になると朝晩は冷え込んできて、草花に冷たい露がつきます。「寒露」とは、そこからついた呼び方。まだ秋なのに冬っぽい字面ですが、きっとそこには、もうすぐ寒くなることを早めに知らせてあげたいというやさしい配慮が込められています。二十四節気をさらに細かく分けた七十二侯では、「鴻雁来(こうがんきたる)」「菊花開(きっかひらく)」「蟋蟀在戸(しつそつこにあり)」の時期にあたります。北から渡ってくる雁の群れや、開く菊の花や、戸口で鳴くコオロギ(キリギリスという説も)を楽しみに待ちかまえましょう。

「寒露」においしい魚-イセエビ


ルックスも値段も大迫力のイセエビ。夏の産卵の時期は禁漁で、もっとも解禁が遅い三重県でも10月1日から漁が始まります(離島地域は9月16日から)。県別の収穫量は三重県と千葉県が毎年トップ争いを繰り広げていて、2県で全国の約40%を占めています。生でも煮てもたいへん美味ですが、食べられる部分はけっして多くありません。高たんぱく低脂質ではあるものの、栄養の摂取という点では割が悪すぎるかも。あの長いヒゲが折れると、食べる分には関係なくても売値は大きく下がります。伊勢海老を食べたり見たりした際には、贅沢気分というのはコスパを忘れた先にあるのだなあと実感しましょう。

「寒露」においしい野菜-サツマイモ

サツマイモを食べないと、秋が来た気がしません。たっぷり含まれているビタミンCは、加熱しても壊れにくい性質を持っています。お通じを助けて腸をきれいにする食物繊維との合わせ技で、美容効果は抜群。煮てよし、焼いてよし、揚げてよし、干してよしの万能選手です。江戸時代の飢饉のときには、多くの人々の命を救いました。ただ、「イモっぽい」といった言葉もあるように、けっしてオシャレな存在ではありません。サツマイモをしみじみ見つめることで、スタッフの中で本当にいい仕事をするのは誰か、本当に欠かせない存在は誰か、表面的なイメージに惑わされずに判断する大切さを学びたいものです。

「寒露」においしい果物-カキ


トマトやリンゴでも言いますが、「カキが赤くなると医者が青くなる」という諺があります。ビタミンCとカロテンが風邪をひかない身体を作り、生活習慣病を防ぐと言われているカリウムや食物繊維もたっぷり。タンニンがアルコールを分解してくれるので、二日酔いの心強い味方でもあります。昔から「カキとダイコンのなます」はおなじみですが、栄養の面でも味の面でもダイコンとの相性はピッタリ。小さく四角に切ったカキの実をダイコンおろしと甘酢(orポン酢)であえた一品は、肉料理の付け合わせに最適です。ただ、食べ過ぎると体を冷やしたりお腹を壊したりすることも。頼りになるからといって、頼り過ぎは禁物です。

「寒露」にちなんだおもてなし
-ちょっとマニアックな「イモ祭り」で

「秋の味覚」となると、おいしいものがたくさんあり過ぎて、何をどうお出しすればいいか迷ってしまいます。いっそのこと「イモ」にフォーカスしてみてはいかがでしょう。ひと口にサツマイモといっても、安納芋、鳴門金時、紅はるか、紅あずまなど、さまざまな品種があってそれぞれ食感も味も違います。複数の品種で焼きイモや天ぷらを作って「食べ比べセット」にしてみたり、週替わりでポタージュやスイーツにいろんな品種を使ってみたりして、お客さまといっしょにサツマイモをマニアックに味わってみましょう。サトイモにもいろんな品種がありますから、同じように「イモ祭り」を開催できます。

「寒露」に繰り出したいセリフ

お客様との会話にさりげなく季節感を盛り込んで、楽しい気持ちになってもらったり「おやっ、このお店はひと味違うかも」と思ってもらったりしましょう。

「変わりやすいもののたとえで、女心と秋の空と言うこともあれば、男心と秋の空と言うこともありますよね。結局、男心も女心もアテにならないってことでしょうか」(失恋したという話をしているお客さまの前で言うのは危険)

「最近知ったんですけど、女性が男性の気を引くためにじっと見つめたりすることを『秋波を送る』って言うらしいですね。秋なのに、どこからも送られてこないなあ……」

「今日はさわやかないいお天気でしたね。あっ、この『さわやか』って秋の季語で、春や夏に『さわやかな天気』って言うのは間違いらしいですよ。でも、さわやかな性格やさわやかな歌声なんかは、季節は関係ないですよね」

次回は「霜降」をご紹介します。

【関連記事】
夏至の巻
小暑の巻
大暑の巻
立秋の巻
処暑の巻
白露の巻
秋分の巻
寒露の巻
霜降の巻
立冬の巻
小雪の巻
大雪の巻
夏至の巻
小寒の巻
大寒の巻
立春の巻
雨水の巻
啓蟄の巻
春分の巻
清明の巻
穀雨の巻
立夏の巻
小満の巻
芒種の巻

■おすすめ記事

裏メシ!まかない探訪記【1】金の独楽の牛スジカレーは母の味


ドクター石原の大人の接客力講座 ―「困った!」に効くコトバの特効薬【2】お客さまにやんわりビシッと注意する


岡本まーこ「制服コレクション」02 吉祥寺では餃子祭りが毎日開催!?

この記事をシェアする
旬の力総研
この記事を書いた人

食材、お酒、料理、日本文化、コミュニケーションなど、幅広い専門分野を持つメンバーが集結。暦と食、暦と日常生活の幸せな関係を追求し、旬の食べ物や旬の話題をおもてなしにどう生かすかを総合的に研究している。

おすすめ5選

新着記事