飲食店で働く人のための情報マガジン by トレタ

連載
2017年9月5日

飲食店専門! 石崎先生のよくわかる法律相談【5】お子さんのケガ。これって店の責任?

この記事をシェアする

店舗の貸借トラブル、スタッフの労務問題、お客さまからのクレーム・・・。飲食店の日々の営業の中で「法律的にどうなの?」「これって違法なの?!」と迷うことは少なくありません。法律はもちろんのこと、外食業界に精通した弁護士の石崎先生が、飲食店経営にまつわる悩みにズバリと回答をします。

お子さんのケガ。これって店の責任?

本日の相談

念願のカフェをオープンして半年が経ちます。当初は想定していなかったのですが、平日は、お子さん連れのママ会で賑わうようになりました。

先日、店内ではしゃいでいた5歳の女の子が、突然開いた化粧室のドアにぶつかり、顔を切ってしまいました。

多少の流血もあって、店内は一時期騒然としましたが、私もスタッフも、応急処置をして近くの病院にご案内するなど、できるだけのことはしました。幸いに軽いケガで、傷跡も残らないということでした。

ところが、後日、化粧室から出てきたお客さまから、「子どもにきちんと注意すべきだった。店にも責任があるのでは」と言われ、そのお客さまが払ったというお子さんの治療費を請求したいと言われてしまいました。

店にも責任があるのでしょうか。
 (カフェオーナー 30代 女性)

今回のケース、店に責任はありません

石崎先生の回答
飲食業態に限らず、店内での事故からトラブルが生じるケースは少なくありません。特に飲食店は、多数の人が狭い空間で出入りしますので、接触や転倒などによって、事故やケガが発生しやすいといえます。

数年前のことですが、餃子チェーンの店内で足を滑らせて転倒した女性が、インターネットなどで「店の床がよく滑る」と指摘され、「滑りやすいことは有名だった」と、店側に対策の不備があったとして、2500万円の損害賠償を求めた訴訟も話題になりました。

今回のご相談のように、店の設備によってお客さまがケガをした場合、店側が損害防止のために必要な注意義務を果たしていたかどうかが問われることになります。例えば、「段差があるので足元にお気をつけください」と案内するなどです。

今回は、化粧室のドア自体が危険だったというものではないようですから、必要な注意義務を果たしていたかは問題にならないでしょう。

では、「走り回る子どもを注意しなかった」ということで、店が責任を負うか(つまり、ケガをさせた方が払った費用を分担して支払う必要があるか)といわれると、これもかなり難しいと思います。子どもの生命や身体を守る義務があるのは、あくまで保護者だからです。

ですから、ケガをさせた女性は、店に請求をするのではなく、子どもや保護者の行動に過失があったとして、保護者に対して子どもの治療費を過失相殺(減額)するというのが筋だと思います。

もちろん、店内で子どもが騒いでいた場合、店側としては、他のお客さまの居心地の良さを守るという意味で注意すべきだとは思います。しかし、このような問題が起きた以上、再発防止の観点からも、子どもが騒いだ場合の対応をどのようにするかを決めて、従業員に周知徹底しておくことが必要でしょう。

過去の相談
【1】 20名様のドタキャン。泣き寝入りしかないですか?
【2】 寿司のネタだけ食べてシャリを残す。食べ方はお客さまの自由?
【3】アルバイトにペナルティって課せられる?
【4】自家製サングリアの提供ってダメなの?

■関連記事

食費データ研究所[報告書01]金沢・富山のアイス好きの謎に迫る!

明日のレストランでは、石崎先生にアドバイスして欲しいお悩みをお待ちしています。応募はこちらから

協力:
弁護士法人横浜パートナー法律事務所
飲食店支援サイト

この記事をシェアする
石崎冬貴
この記事を書いた人

弁護士・社会保険労務士 弁護士法人横浜パートナー法律事務所(http://www.ypartner.com)所属 フードコーディネーターとしても活動し、法的支援を得ることの少ない小規模飲食店や飲食関連業者を支援するため、 飲食業界専門で法的支援を行っている。飲食店支援サイトも開設

おすすめ5選

新着記事