飲食店で働く人のための情報マガジン by トレタ

連載
2017年9月5日

若き飲食経営者たちの夢〈1〉赤塚元気氏(株式会社DREAM ON COMPANY)

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本企画では、外食業界を牽引する経営者たちの夢に迫る。第1回に登場いただくのは、株式会社DREAM ON COMPANY 代表取締役社長 赤塚元気氏だ。赤塚氏の経営する東京・渋谷のDRAEMON MEAT BANKでその思いを伺った。


赤塚元気氏

赤塚氏は1976年11月生まれ。愛知県一宮市で育った。学生時代に東京・下北沢の「汁べゑ」(楽コーポレーション)でアルバイトをしていた経験から、「居酒屋の仕事は楽しい」と心酔。そこで、大学を卒業したタイミングで父の会社に入り、父が立ち上げた一宮駅前(愛知・一宮市)の居酒屋の事業を継承する形で飲食業に入った。その後、名古屋市内、東京と展開エリアを広げて、現在愛知県下7店舗、東京地区6店舗、社員40人、アルバイト80人という陣容を築き上げている。同社の各店舗に共通しているのはスタッフの現場力の高さだ。各人が機敏に行動している。赤塚氏はこの「ドラエモンらしさ」をどのように展開しようとしているのであろうか。

創業以来一貫して「日本一のチームをつくる」

――飲食業をはじめたときに、どのようなことを目指していましたか。

まず、「すべて自分たちが一から考えた店をつくろう」ということです。

そこで「理念の浸透」を大切にしました。毎日オープンする前の30分間はスタッフと共にミーティングを行い、父の本の『売り物は笑顔!お持ち帰りは元気‼』の一節や私が書いた文章の読み合わせを行い、それを共有しました。それが終わると店の外に出て整列し朝礼を行います。私がつくった「企業コンセプト」を全員で唱和して、全員でパフォーマンスを行い、テンションを高くします。それを終えてから店前の道路に雑巾がけをし、ピカピカにします。

いつもお客さまに喜んでくださることを考えていて、それにかなうことはすぐに実行しました。全てのメンバーが舞台俳優という場面をつくり、例えばお客さまのバースデーも単にデザートをプレゼントするだけではなく。全員で曲に合わせて踊りました。

1号店はJR尾張一宮駅前で、以来、「一宮の街を元気にしたい」という想いがあり、近接して業種を替えて展開しました。これによってお客さまにはハシゴをしていただけるようになり、にぎやかになっていきました。当社だけではなくほかの店舗も増えていきました。

――出店エリアは、名古屋市内、東京と広がってきていますが、どのような狙いで展開してきたのでしょうか。

これは、一宮で行ってきたことの延長線にあることです。特に東京は学生時代に飲食業の素晴らしさを知った町であり、「愛知で飲食業を極めて、いつか東京で勝負しよう」という夢をかなえるために出店しました。

業種はパターン化しないで、イタリアンバル、イタリアン、カフェと専門店を追究しました。これによって料理やコーヒーの技術を高度化して、一店一店の「商品力」を高めて行きました。こうして当社は料理も強い会社となっていきます。

創業以来一貫していることは「日本一のチームをつくる」ということです。各店舗の業種こそ異なりますが、フロア担当のアルバイトスタッフはどの店でもヘルプができるようにスキルアップを心掛けています。各店舗段階でスタッフのスキルアップを向上させる環境をつくり、その指標となる「アルバイト平均時給」を競うようにしています。こうして業種のブーム等で業績に変動があったとしてもそれを乗り越える「チーム力」を備えています。

仲間たちと達成感を味わいたいから上場を目指す

――すばり、これからの「夢」はどのようなものですか。

「5年後上場」を目指します。そのためにこれからM&Aをしながら組織を大きくしていきます。

上場して拡大する会社に必要となるのは、資本力、人材力、営業力、業態力、店舗開発能力、教育力というものです。その中で当社は、「営業や教育が強い」という認識があります。そこで当社が弱い他の部分を補う形でM&Aを推進していき、傘下に入った会社はその個性を尊重し、当社がコンサルや理念教育を行うことによって全体の営業力を高めていきます。

上場を目指す理由は、夢を共有して一緒に頑張っている仲間たちと達成感を味わいたいから。上場することを目的とした上場があってもいいのではないでしょうか。これまで会社を育てるためにお互いに理念浸透を図り、チーム力を育ててきたわれわれにとって、M&Aや上場をきっかけに新しい志が生まれて、思いがけない可能性が出てくることでしょう。その時になったらみんなでワクワクすることを手掛ければいい。業容を広げていく上で、飲食以外や海外出店といった新しい事業に着手するという夢の描き方もあるでしょう。しかし、当社は「5年後上場」一本に絞ってエネルギーを傾注していきます。

【編集後記】千葉哲幸のコメント
赤塚氏と初めて会ったのは2005年7月の暑い日、東京・渋谷の「てっぺん女道場」であった。「居酒屋甲子園」(第1回は2006年2月)のファウンダー4人からその構想を伺う取材であった。このとき赤塚氏は28歳。私の印象は、「邪念」というものが一切ない、すべてはお客さまに喜んでいただくために存在していた。現在は展開エリアが広がり店数も増えたがそのスタンダードは高度に維持されている。それは、スタッフの明るく元気な対応。言葉にすると稚拙であるが、これが「ドラエモン一座」の揺るぎない強さである。「5年後上場」のドラエモンは、創業以来の「オリジナリティ」「商品力」「チーム力」が深く浸透したいまだかつてないフードサービス業の在り方を見せてくれることだろう。

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千葉哲幸
この記事を書いた人

フードフォーラム代表。
柴田書店『月刊食堂』と、そのライバル誌である商業界『飲食店経営』の編集長を歴任するなど、フードサービス業の記者歴35年。業界関連の取材・執筆、書籍プロデュース、セミナー活動を行う。2017年4月に「志を持ち、生き方を変え、日本を元気にする」を冠としたエーアイ出版『夢列伝』の編集長に就任し、活動領域を広げている。

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