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2017年8月9日

飲食店専門! 石崎先生のよくわかる法律相談【4】自家製サングリアの提供ってダメなの?

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店舗の貸借トラブル、スタッフの労務問題、お客さまからのクレーム・・・。飲食店の日々の営業の中で「法律的にどうなの?」「これって違法なの?!」と迷うことは少なくありません。法律はもちろんのこと、外食業界に精通した弁護士の石崎先生が、飲食店経営にまつわる悩みにズバリと回答をします。

相談:自家製サングリアの提供ってダメなの?

本日の相談
カジュアルダイニングでアルバイトをしています。

ワインの売り上げがよく、種類やバリエーションを増やしたいとオーナーが話していたため、季節のフルーツを使った自家製サングリアを提案しました。

いいアイデアだと思うのですが、オーナーから「法律に違反する」と却下されてしまいました。

自家製サングリアを提供している飲食店って結構あると思うのですが、実は法律違反なんでしょうか。
 (アルバイト 20代 男性)

少し複雑な「酒税法」をわかりやすく解説します!

石崎先生の回答
「自家製サングリア」はワインバルなどでは、よく見られますね。

「お酒は勝手に造ってはいけない」とか、「梅酒は自宅用に限られる」といった話もよく聞くかもしれません。歴史が好きな方であれば「密造酒」なんて言葉もご存じでしょうか。お酒の販売や製造については、酒税法という法律が非常に細かく規制していますので、少し整理してみたいと思います。

まず、酒税法上1%以上のアルコールを含むものが「酒類」とされています。サングリアには当然アルコールが含まれていますから酒類です。

次に、「酒類」を製造するには酒類免許(酒類製造免許、酒類販売業免許)が必要です。無免許で酒類を製造すれば、10年以下の懲役または100万円以下の罰金など重い罰則があります。そして、酒類に他の物を混ぜて新しい酒類を作るのは酒類の製造に該当します。自家製サングリアは、一般的にワインに果物などを漬け込んで作りますので、自家製サングリアを作ることは酒類の製造になってしまうのです。

ただ、これには例外があります。①バーや居酒屋など酒類を提供する店が、②自分の店で飲む目的で、③店内で、④アルコール度数20度以上の蒸留酒類と一定の物(米、麦、ぶどう、別の種類など)を混ぜる限り免許は不要というものです。(その場合でも、税務署に届け出をしたり、作った数量を記録しておくなどルールがあります。)これによれば、焼酎で作る梅酒などは、酒類免許がなくても飲食店で提供可能です。

今回の相談のサングリアはワインがベースです。ワインはアルコール度数20度以上でも蒸留酒でもありません。つまり、上記の例外には当たらないため、酒類を製造していることになり、製造や提供には酒類免許が必要です。

上記の例外とは別に、飲む直前に酒類を混ぜる場合は、そもそも製造に当たらないという規定もあります。バーでカクテルを作るような場合を想定した規定です。しかし、サングリアは飲む直前ではなく、事前に作り置きしますからこの例外規定にも当たらないことになります。

結局のところ、「自家製サングリア」が、自分の店で作るものであれば、酒類免許や設備などが必要ということになります。ですから、今回の相談のケースでは酒税法違反に該当します。

ちなみに「自家製サングリア」といった商品を仕入れて提供しているケースでは酒税法違反ではありません。

過去の相談
【1】 20名様のドタキャン。泣き寝入りしかないですか?
【2】 寿司のネタだけ食べてシャリを残す。食べ方はお客さまの自由?
【3】アルバイトにペナルティって課せられる?

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協力:
弁護士法人横浜パートナー法律事務所
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石崎冬貴
この記事を書いた人

弁護士・社会保険労務士 弁護士法人横浜パートナー法律事務所(http://www.ypartner.com)所属 フードコーディネーターとしても活動し、法的支援を得ることの少ない小規模飲食店や飲食関連業者を支援するため、 飲食業界専門で法的支援を行っている。飲食店支援サイトも開設

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