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2017年8月10日

リピーターが増える! おもてなし歳時記〜二十四節気の旬の食材と話題【処暑の巻】

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「季節感」は、あなたのお店をあたたかく魅力的に彩ってくれます。日本で昔から親しまれてきた「二十四節気」。それぞれの時期に合わせた旬の食材と話題で、お客さまに季節の移ろいを味わっていただきましょう。それは何より心がこもったおもてなしであり、あなたのお店のリピーターを増やす最強の武器になってくれるはずです。

二十四節気(にじゅうしせっき)とは?
一年をおよそ15日ずつ二十四の季節に分けたもの。立春、夏至、大寒など、漢字二文字で季節ごとの特徴を表現しています。現在は二十四節気の最初の日だけを指しますが、もともとは時期全体のことでした。年によって、それぞれの時期は多少前後します。

「処暑」とは

処暑【しょ-しょ】2017年は8月23日~9月6日

処暑は、暑さがおさまるという意味。朝晩は涼しい風が吹いて、秋の虫も鳴き始めます。立春から数えて二百十日めの9月1日頃は、昔から「二百十日」と呼ばれ、台風が襲来する恐れが高い日として警戒されてきました。関東大震災が起きたのも1923(大正12)年9月1日。この日は「防災の日」と定められ、各地でさまざまな災害を想定した訓練が行なわれます。災害もですが、夏バテにも注意が必要。辛い時期を乗り越えても油断せず、むしろ気を引き締めなければいけないと、自然が教えてくれているのかもしれませんね。

「処暑」においしい野菜-ナス

涼しい季節になってくると、茄子は皮がやわらかくなり実も締まって、いっそうおいしくなります。「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざは、意地悪な意味だけでなく、身体を冷やすので母体によくないというやさしい気づかいが込められているという説も。何事も早とちりは禁物ですね。紫色の皮に含まれるナスニンという色素は、ポリフェノールの一種。活性酸素の働きを抑え、がんや生活習慣病の予防に効果があると言われています。なるべく皮ごと食べましょう。日本には8世紀ごろに中国から入ってきて、今では丸いものから長いものまでさまざまな品種が栽培されていますが、南に行くほど長くなる傾向があります。

「処暑」においしい果物-ナシ

今になって夏の疲れがたまってきたかなと感じたら、ぜひ食べたいのが梨。果糖やリンゴ酸、クエン酸がたっぷり含まれていて、疲労回復に効果抜群です。また、甘味をもたらすソルビトールには整腸作用があり、果肉には食物繊維がぎっしりなので、お通じの悩みを一気にナシにしてくれるでしょう。デザートとしてだけでなく、細く切ってサラダに入れてもいいし、すりおろして大根おろしの代わりに煮物やおひたしで使ってみるのもオツ。梨は「無し」に通じるとして、縁起を担いで「有りの実」と呼ばれることもあります。

「処暑」においしい貝-アワビ

アワビといえば高級食材の代名詞。伊勢神宮の神饌(神様に献上する食事)としても、海女さんが獲ったアワビは昔から欠かせない一品です。刺身のコリコリした食感もいいですが、蒸したり煮たりソテーにしたりしたときの味わいもたまりません。「磯のアワビの片思い」という言葉は、アワビの貝殻が片方しかないように見えることから生まれた言葉。しかし、アワビは二枚貝ではなくサザエと同じ巻貝の仲間なので、ひとりで寂しがっているようなイメージを勝手に抱くのは余計なお世話です。おひとりでご来店なさったお客さまも、いわばアワビのような気高くありがたい存在だと認識して、丁寧に接しましょう。

「処暑」に役立つ豆知識
        -トンボは日本を象徴する虫

トンボが目につくようになると、秋を実感します。秋を代表する虫で、その昔は「秋津」と呼ばれていました。神武天皇が山々が連なる大和の国を見て、まるで「秋津」が交尾をしているようだなあと言ったとか。その故事から、日本のことを「秋津洲(あきつしま)」と呼んでいた時期もあります。交尾をしながら飛んでいるトンボを見たら、ああ、日本を象徴してくれていると、手を合わせて感謝しましょう。日本では親しまれる存在ですが、西洋では邪悪な「ドラゴンフライ」呼ばわりで、気持ちの悪い虫として嫌われています。

「処暑」にちなんだおもてなし
-「秋の雲」や「秋の空」にちなんで

「天高く馬肥ゆる秋」と言います。「天高く」なるのは、秋になると空が青さや透明度を増し、雲が高いところに浮かぶから。秋の雲といえば、さば雲、いわし雲、うろこ雲が代表格です。「秋の雲」シリーズということで、サバやイワシの缶詰を使った一品や、タイのうろこの唐揚げなどをお通しにしてみてはどうでしょうか。また、変わりやすいものの例えとして「女心(男心)と秋の空」という言い方もあります。作るたびに中身がコロコロ変わる「秋の空サラダ」(男心と女心の二種類)をメニューに加えるのも楽しそうですね。

「処暑」に繰り出したいセリフ

お客さまとの会話にさりげなく季節感を盛り込んで、楽しい気持ちになってもらったり「おやっ、このお店はひと味違うかも」と思ってもらったりしましょう。

「昔の人は、ツクツクボウシの声を『美し、佳し(うつくし、よし)』と聞いたらしいですよ。今の私も、美しいお客さまをお迎えして、そう鳴きたいところです」

「9月は『長月(ながつき)』とも言いますけど、このあいだ、あれは『夜長月』の略だって教えてもらいました。たしかに、夜が長くなりましたよね」

「春だけじゃなくて『秋の七草』もあるんですね。ただ、春は七草粥にしますけど、秋は鑑賞するだけっていうのが残念です」(ちなみに「秋の七草」は、ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ)

次回は「白露」をご紹介します。

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旬の力総研
この記事を書いた人

食材、お酒、料理、日本文化、コミュニケーションなど、幅広い専門分野を持つメンバーが集結。暦と食、暦と日常生活の幸せな関係を追求し、旬の食べ物や旬の話題をおもてなしにどう生かすかを総合的に研究している。

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