飲食店で働く人のための情報マガジン by トレタ

連載
2017年7月19日

飲食店専門! 石崎先生のよくわかる法律相談【3】アルバイトにペナルティって課せられる?

この記事をシェアする

店舗の貸借トラブル、スタッフの労務問題、お客さまからのクレーム・・・。飲食店の日々の営業の中で「法律的にどうなの?」「これって違法なの?!」と迷うことは少なくありません。法律はもちろんのこと、外食業界に精通した弁護士の石崎先生が、飲食店経営にまつわる悩みにズバリと回答をします。

相談:アルバイトの欠勤にペナルティって課せられる? 

本日の相談

郊外で焼肉店を数店舗経営しています。

パートや学生のアルバイトが大きな戦力で、ギリギリの人数でシフトを回しています。突然欠勤をされると営業に大きな影響が出て、他のスタッフにしわ寄せが行ってしまい、大変に困っています。

体調不良や家庭の事情など、欠勤の事情は理解できますが、欠勤して欲しくないというのが本音です。少なくとも、前日までには欠勤連絡をもらえれば、代わりのスタッフを探せます。

当日の欠勤連絡には、ペナルティがあれば欠勤が減らせると思うのですが、どのようなペナルティなら法律で許される範囲でしょうか。 
(焼肉店 オーナー 40代 男性)

ペナルティは違法です!

石崎先生の回答
飲食店はとにかく人手が必要ですが、1店舗に正社員は1名で、あとはアルバイトやパートタイム労働者を使うというのがほとんどだと思います。「ワンオペ」などの言葉も有名になりましたが、業態によっては、深夜帯に1名で回すというのも珍しくはないでしょう。そんなぎりぎりのスタッフ数で回している飲食店ですから、1名欠勤が出れば店舗としてはそれをどうカバーするのか非常に大きな問題になります。予防としてペナルティを設けるという方法に至るのも心情的には理解できます。

しかし、法律では労働契約において損害賠償額を定めておくことは一切できません。ですから、「法律で許される範囲のペナルティ」はありません。2017年1月に大手コンビニエンスストアのある店舗で、給与から欠勤した分の時給をペナルティとして控除されたという話が話題になりました。採用時の契約書にもペナルティのことは記載していたとのことですが、これは明らかに違法です。

では、どう対応するかというのは非常に難しい問題です。現実的には、アメとムチになるのではないでしょうか。

何よりも大事なのは、「従業員の欠勤は絶対にある」という前提で、制度設計をしていくことです。メールやLINEなどで連絡網を作り、代わりの従業員を見つけやすくする方法や、多店舗展開しているのであれば、多店舗からのヘルプを随時入れる仕組みを作るなどは基本的な方法でしょう。

抽象的ですが、「アルバイトは目の前の仕事をやらせて、バイト代を払えばいい」というのではなく、やりがいや責任感を持って仕事をさせることも重要です。一定以上のシフト数や欠勤率で手当てを設け、モチベーションを上げることで欠勤を減らすのもひとつの手だと思います。

他方、ムチということでいえば、先ほどのように、「事前にペナルティを設ける」ことは禁止されていますが、「実際に生じた損害を請求すること」は可能です。そこで、抽象的ではありますが、契約書内に、「事前の連絡なく欠勤した場合、これによって生じた損害を請求することがある。」といった内容を定めておき、しっかりとその旨を理解してもらうことも抑止力になるでしょう。

過去の相談
【1】 20名様のドタキャン。泣き寝入りしかないですか?
【2】 寿司のネタだけ食べてシャリを残す。食べ方はお客さまの自由?

次の相談
【4】自家製サングリアの提供ってダメなの?

明日のレストランでは、石崎先生にアドバイスして欲しいお悩みをお待ちしています。応募はこちらから

協力:
弁護士法人横浜パートナー法律事務所
飲食店支援サイト

この記事をシェアする
石崎冬貴
この記事を書いた人

弁護士・社会保険労務士 弁護士法人横浜パートナー法律事務所(http://www.ypartner.com)所属 フードコーディネーターとしても活動し、法的支援を得ることの少ない小規模飲食店や飲食関連業者を支援するため、 飲食業界専門で法的支援を行っている。飲食店支援サイトも開設

おすすめ5選

新着記事