飲食店で働く人のための情報マガジン by トレタ

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2017年7月3日

飲食店専門! 石崎先生のよくわかる法律相談【2】食べ方はお客さまの自由?

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店舗の貸借トラブル、スタッフの労務問題、お客さまからのクレーム・・・。飲食店の日々の営業の中で「法律的にどうなの?」「これって違法なの?!」と迷うことは少なくありません。法律はもちろんのこと、外食業界に精通した弁護士の石崎先生が、飲食店経営にまつわる悩みにズバリと回答をします。

相談:寿司のネタだけ食べるのもお客さまの権利? 

本日の相談

父の代から寿司店を営んでいます。

宣伝に力を入れた結果、新しいお客さまが増えました。客層が若返り、店内が活気づいてうれしいのですが、マナーがよくないお客さまも増えています。

例えば、寿司のネタだけ食べて、シャリをきれいに残す女性のお客さま。

「心を込めて握っているからシャリも一緒に食べてみて欲しい」と言ったところ、「お金を払っているし、私の好きなように食べる権利がある」と言い返されてしまい、どうにも釈然としない気持ちです。

本当に好きなように食べる権利ってあるのでしょうか。
 (寿司店 大将 40代 男性)

お客さまは神様ではありません! 法律上は両者平等

石崎先生の回答
最近、焼き鳥の「串外し」やとんかつの「衣はがし」などでも話題になっている、飲食店での食べ方の問題ですね。店の要望をお客さまに強制できるのか、食べ方はお客さまの権利なのか、さまざまな見方や意見、さらにはマナーの問題もあると思いますが、法律的な立場から考えてみます。

この問題を考える前提として、まず飲食店での契約について整理してみます。

契約書を交わすわけではないため、普段は意識することはありませんが、飲食店での飲食も、飲食店とお客さまの間で成立する立派な契約です。この場合、店はお客さまに食事やサービスを提供し、お客さまはこれに対して代金を支払うというのが、基本的な契約内容と考えてよいでしょう。

「お客さまは神様です」なんて言いますが、法律の世界では両者とも平等です。

契約内容は店が定めることができます。例えば、高級店ではドレスコードを定め、店の雰囲気にあったお客さまだけを入店させ、食べ放題の店では食べられないほどの量をオーダーし、残してしまったお客さまに追加費用を請求するなど、この契約の考えに基づいて行われています。

したがって、今回のような「食べ方」の問題でも、例えば、「店主の決めた食べ方で食べてもらえない場合、退店してもらう」というような約束(契約)になっていたのであれば、店はお客さまに退店を求めることができます。

しかし、一般的な飲食店でそのような注意書きはあまりないでしょうから、実際には「食べ方は私の自由だ」と言われてしまうと、店として何か文句を言うのは難しいところです。特にそのような決まりがなかったのであれば、お客さまがどのような食べ方をしても自由です。

この問題に対する店側の対応は次の二つ考えられます。

ひとつは、どうしてもこだわりがあるのであれば、張り紙や入店時の説明などでしっかりとお客さまに了解をしてもらう方法。こだわりのあるラーメン店などで「食べ残し厳禁」などの張り紙をたまに見られますね。正攻法ですが、どこまで取り決めてどのように周知するか具体的なやり方を考える必要があります。

もし、今後も同じようなお客さまが続々と来店されるというのであれば、張り紙をしたり、入店の際に「シャリも召し上がって欲しい」と伝えることをおすすめします。

もうひとつは、次回以降の入店をお断りする方法です。店は契約内容を定めるのも自由ですが、契約自体を結ぶかどうかも店が自由に決めることができます。つまり、誰をお客さまに選ぶかですね。マナーの悪いお客さまや店の雰囲気に合わないお客さまには、今後の入店をお断りするというのはわかりやすい方法と言えます。

いずれにせよ法律だなんだと難しい話を持ち出すまでもなく、店とお客さまがそれぞれマナーを守って、お互いの立場を尊重して気持ちよく食事ができればいいですね。

過去の相談
【1】 20名様のドタキャン。泣き寝入りしかないですか?

次の相談
【3】アルバイトにペナルティって課せられる?
【4】自家製サングリアの提供ってダメなの?

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協力:
弁護士法人横浜パートナー法律事務所
飲食店支援サイト

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石崎冬貴
この記事を書いた人

弁護士・社会保険労務士 弁護士法人横浜パートナー法律事務所(http://www.ypartner.com)所属 フードコーディネーターとしても活動し、法的支援を得ることの少ない小規模飲食店や飲食関連業者を支援するため、 飲食業界専門で法的支援を行っている。飲食店支援サイトも開設

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